第2部スクールカウンセラーのおなはし「ドキドキの1年生、家庭での心構え」
令和7年度のオンライン講座の内容を抜粋してテキストデータでご紹介します
スクールカウンセラー自己紹介
私は臨床心理士・公認心理師の資格を持っています。
以前は、葛飾区と目黒区の小学校でスクールカウンセラーとして勤務していました。
現在は、葛飾区の小学校で2校、都内の定時制高校でスクールカウンセラーとして勤務しています。
スクールカウンセラーと並行してクリニックで心理士として勤務しています。
また、夜間帯の電話相談で相談員としても勤務しています。
スクールカウンセラーとはどんな人?
スクールカウンセラーは医者でも教師でもありません。
公認心理師や臨床心理士という資格をもつ、心理学の専門家です。
“心理”の面から、学校に在籍する児童生徒だけではなく、保護者、教員のサポートを行います。
スクールカウンセラーはどんなことをするの?
1.児童・生徒に対する相談
2.保護者や教職員に対する相談、コンサルテーション
3.行動観察などを通して児童・生徒に関する情報収集
スクールカウンセラーへの相談内容にはどんなものがあるの?
様々な相談内容があります。
・不登校
・対人関係のトラブル(仲の良い子とけんかした、悪口を言われたなどの問題から、いじめ事案にかかわるようなトラブルまで)
・発達の凸凹に関連した相談など
児童生徒による、ちょっとしたおしゃべりや愚痴レベルの相談から、不登校や家族関係の相談まで多岐にわたります。
スクールカウンセラーへの相談はどうやってするの?
・担任の先生や養護教諭(保健室の先生)など、話しやすい先生を通してお約束をする。
・カウンセラーと直接お約束をする。各学校には相談室があって、スクールカウンセラーは専用の電話番号を持っていることが多いです。
話下手でも大丈夫?
うまく伝わらなかったらどうしよう?
話下手でも大丈夫です!
一緒に話していくことによって、“ああ、これが話したかったことなんだな”と分かったり、“これが、自分が思っていた事なんだ”と整理できたりします。
1人でぐるぐる考えずに、まずは話してみても良いかもしれません。
本題の前に…。(ちょっと覚えておいてほしいこと)
・子育ては親の思い通りにならないことが多いです。子どもは一個の人格です。
・子どもは日々成長しています。
・子育てに正解はありません。すべてが正解で、すべてがちょっと不十分です。
・子育てにおいて1番大切なことは、社会とともに生きる力を身につけること、他者とともに共存する意思を身につけることです。
共存への意思
皮づくりの大切さ
【あんこ】
人に甘えたり、駄々っ子をしたり、腹を立てたり、怖がったり、寂しがったりと、人が抱える柔らかくて傷つきやすい部分。
【皮(かわ)】
あんこがやたらとまわりにまき散らかされると、周りの人が迷惑するので、何とか人に甘えず、我慢しようとする気持ち。
甘えを頑張って我慢する気持ちを、「頑張ってひとともに生きていこうと覚悟した姿勢」として《共存への意思》と呼んでいます。

皮を培う方法4種
(1)体で抱っこしてもらう。

(2)ファンタジーの共有
ファンタジーを親に共有してもらうことで、子どもたちのファンタジーはリアリティーを増して、ホントらしくなります。

(3)約束を守る。言葉の響き
・できない約束はしないこと。
・どうしても、約束を守れない時には、妙な言い訳をしないで「約束を守れなくなった。ごめんね。嫌だよね」など、きちんと謝罪してやることが大事になります。もし可能なら「その代わり、こんど、いついつ、約束をまもるからね」と付け加えられると、子どもは嬉しいことでしょう。
(4)ぬいぐるみを持ち歩く
母子一体の状態から母子別々という状態に移行するまでの期間を、心理学では「移行期間」と呼んでいます。この期間に、母親に依存したいという子どもたちの欲求を、母親代わりのもので満たすものが「移行対象」と呼ばれます。
その対象の1つがぬいぐるみ。タオルやガーゼ、中には自分の指をしゃぶったり(指しゃぶり)、ペットがその対象になることもあります。
移行対象は、子どもが母子分離を成し遂げるまで子どもをまもってくれます。ボロボロになってもそれらは大事な宝物です。
良好なコミュニケーションの秘訣の1つ
否定的な内容をいかに安全に相手に伝えるか
意味内容と響きの関係に注目してみましょう。
相手にとって、「〇」の体験になるか、「×」の体験になるのかは、言葉の意味内容の違いより、響きの違いによるところが大きいようです。

頑張って許す
もし、相手を傷つけてしまったと感じたなら、まずは「ごめんなさい」と謝ること、時には許しを請うことが必要です。
これを逆の立場から考えてみると…。
相手の言葉や振る舞いで私が傷ついたときに、相手は「ごめんなさい」と謝罪し、「許してください」と許しをこうてきました。
でも、私の受けた傷は深く、「ごめんなさい」という言葉位では傷はいえないし、 とても相手を許す気にはなれません。
この時、私には2つの選択肢があります。
「断じて許さない。一生恨んでやる」という姿勢を貫くこと。
「相手の謝罪は不十分だが、頑張って許そう」という覚悟を持つこと。
なんでも許さなくてはいけないことではないですが…。
相手を恨み続けるということは、「今後いっさい、相手とはともに生きていかない」という姿勢を貫くことになります。
これを《共存の意思のくじけ》と呼んでいます。
恨みは依存
相手を許さずに恨み続けるのは、恨む相手に「恨む」という形でしがみつくこと、つまり、「依存」することを意味します。
決して謝らない相手に、それでも「謝れ、謝れ」とないものねだりをしているのは、最も憎い相手にしがみつくということで依存し、人生の主導権を相手に明け渡しています。
自分の依存心の問題を自覚することで、恨みを手放して、人生の主導権を取り戻すことも可能です。
恨みながら生きるのも一生。諦め許しながら生きるのも一生。どちらを選んでも人生です。
恨みながら生きるのは、受け身で被害的な人生になるでしょうし、諦め許しながら生きるのは、能動的・主体的で和解的な人生になるでしょう。
人生の豊かさは後者の方にあるのではないでしょうか?
あなたは1人ぼっちではないよ
日々暮らしていく中で、窮地に陥ったり、具体的な解決策が容易に見いだせなかったりすることがあります。そんなときに、せめてものささえになるのは「あなたは1人ぼっちではないよ」と誰かから言ってもらえることです。
子どもの自立する瞬間
親の失敗を許し、親の保護の限界を引き受けるとき、つまり親を1人の他者として引き受けるときに、子どもは自立への歩みを一歩進めていきます。
小1ギャップとは・・・
「先生の話を聞かない」
「先生の指示を守れない」
「授業中に勝手に立ち歩いてしまう」
「授業中に勝手に教室から出て行ってしまう」
など、授業のルールが成り立たない状態になってしまうことが、数か月にわたって続いている状態をいいます。
幼稚園・保育園の生活から、小学校への生活への変化が考えられます。
遊び中心の生活から授業中心の生活へ
比較的自由な生活から時間割に沿ったスケジュールの生活へ
その他にも
先生1人に対してたくさんの児童がいる
集団で行動する場面が増える
子どもが自分自身で考えて行動しないといけない場面が増える
などの変化があります。
小1ギャップの対策(事前にしておくと良いこと)
・通学路を一緒に歩いて確認しておく。
・時間の区切りに慣れておく。
・学校の生活をシミュレーションして、規則正しい生活リズムを身につける。
・本を読んだりして文字に慣れさせたり、子どもが興味を持つようなことを親子でじっくり味わう時間を通して、学ぶことの楽しさを経験する機会を増やす。
・数や形への関心をもつように、形の組み合わせ遊びをしてみたりする。
・「こんにちは」や「ありがとう」のあいさつでよいので、家族以外の人ともかかわりを持つことになれておく。
・お手伝いをしてもらう。
・食べ物の「好き嫌い」を減らしておく。
・人を傷つけてしまったり、いけないことをしてしまったりしたときには、その理由を伝え、他者の気持ちを考えさせるようにする。
1.児童期とは?
・小学校入学から思春期に入るくらいまでの時期
・親や家族との関係だけではなく、友達や先生との関係も大切になります。
・学習という新しい課題に出会います。
児童期には3つの課題があります。
(1)基礎学力 読み・書き・計算
(2)身体作り・体の動かし方
(3)人との付き合い方
これらの課題を通して、勉強や、友達と一緒に遊ぶ活動から、思いやりや社会性をはぐくんでいきます。
そして、苦手なことにもチャレンジして“自分はやれる、自分は頑張れる”という気持ちを得ることができます。
2.身体症状と気持ち
子どもは、自分の思いや不安や悩みを、うまく言葉で表現することができないので、身体症状として現れることがよくあります。
まずは、病院などで診てもらいましょう。次に、家庭での変化がないか、見てみましょう。学校での変化は担任の先生に聞いてみましょう。
不安などの気持ちが身体症状に現れていると思ったら、スキンシップを増やしましょう。
優しく背中やお腹をさすってあげたり、抱きしめたり、一緒に添い寝をしてあげるなど、体の困りごと(体をとおしての会話)を通して、子どもの心の中で何が起こっているのかをみとっていくと良いでしょう。
3.家族関係・親子関係(どこまで手伝って、どこから任せると良い?)
・宿題や持ち物の準備などは、できる子には1人でやるように 上手に促します。 難しそうなら手伝って、徐々に手を放していきましょう。
・家のお手伝いをしてもらいましょう。
・登下校や、遊びに行く時間も、帰宅時間のルールや困ったときの対処法を教えてあげて、子どもの行動を応援してあげましょう。
親は子どもの“安全基地”です。
失敗する前に、手助けしたくなってしまいますが、失敗を通して学んだことが、子ども自身の生きる力になります。必要なアドバイスはしてあげて、先回りせずに、子どもの少し後からついていく気持ちでいるといいのではないでしょうか。
子どもの話をよく聞いてあげて、子どもの気持ちを守ってあげましょう。
安全基地があってこそ、子どもは冒険できます。
4.友だち関係
小学校に入って間もないころは、集団生活の中で新たな友達作りを始める時期です。
子どもの人間関係は、より複雑になります。ちょっとした意地悪なども出てくるころです。
遊んだり、競争したりしながらルールを身に着けたり、協力関係も見出します。
子どもだけの世界を作り、トラブルや不満も感じながら、あれこれ試したり、距離感を確かめたりしながら、どう付き合うかを学んでいきます。
友だち関係を通して、社会性や協調性を徐々に身につけていきます。
保護者は、先回りしないで見守り、「子どもが話したいことを」をきいてあげましょう。
あれこれと、必要以上に細かく聞き出そうとはせずに、“言ってもいいんだな”、“話しても大丈夫なんだな”と子どもが思える雰囲気を作りましょう。
学校に行きたくないと言われたら・・・
不登校の原因は1つではありません。
発達障害や、対人関係の不安や、勉強の不安や、家庭環境のストレスなど、いろいろな要因が絡んでいることがあります。
子どもが“行きたくない”理由は、子ども自身も分からないことも多いです。
“行く・行かない”“行かせる・行かせない”ではなくて、まずは行きたくない理由の根本にある問題を解決する視点を持つことも大事です。
スクールカウンセラーに相談してみることも一つです。

5.遊びについて
遊びはいくつになっても大事なものです。
特に子どもにとって、遊びは勉強と同じくらい大切なものです。
“遊んでばかりいないで勉強しなさい”ではなく、“勉強ばかりしていないで、遊びなさい”と言ってあげたいですね。
誰と、どのように約束して遊ぶのかは、特に低学年の子たちにとっては大問題です。
外遊びの時間を守らせることは大事ですが、その年齢に応じたルールを親子で話し合って作り上げることが大事です。
親が一方的に決めたりせずに、表立たない形で応援してあげることが大事です。

6.学習
小学校低学年で大切なのは「良い成績をとること」よりも「勉強する習慣を身に付けること」です。
1日10分でも構いません。無理なく続けられる時間をきめましょう。継続できるやり方を子どもと話し合ってください。
「学ぶこと」の喜びを感じることもとても大切です。「やりなさい」という命令ではなくて、「やってみようよ」「やってみない?」と誘うような声掛けが良いでしょう
学習習慣が身につくまでは、子ども任せにせずに、親も一緒に取り組むことが必要でしょう。できたときには、沢山ほめてください。
7.発達の特徴について
子どもの心身の発達には、それぞれ特徴、違いがあります。
元気に学校に行く子もいれば、学校生活に慣れない子どももいます。
それぞれの発達の特徴を正しく理解して、その子にあった適切な環境を整えることができれば、その子たちはそれぞれ、その子らしくのびのびと育っていきます。
すべてが“平均”的な子どもはいません(大人も凸凹があります)
8.学校とのつきあい方
〇学校に子どものことで知っておいてほしいことがあるのなら…
入学時の提出書類の中に、気がかりなことを書く欄があります。遠慮せずに書きましょう。
思いついたときに連絡帳などを使って、担任の先生に伝えることもできます。
〇学校で何かあったみたい…?と思ったら
まずは慌てずに。
ありのままの事実を確認するように心がけます。友だちとのトラブルでも、まずは学校に確認・相談するほうがよいでしょう。
緊急であれば、すぐに学校に連絡をしてみてください。
緊急でない時には連絡帳を活用しましょう。
〇PTA役員活動や、係活動などの学校のお手伝いをすると、子どもだけでなく、学校のことをいろいろと知る機会も増えます。
親が協力する姿を見て、子どもも、学校をより安全・安心な場所と感じることができるようになります。
9.ネットやスマホは子どもたちに身近です
ネチケットを守りましょう。
ネチケットとはインターネットなどの電子ネットワークを使う人たちのエチケットのことです。
自分がされたら不快なことや、迷惑なことを他者に行わないように意識して注意することが大事です。
現実の生活と同様に、インターネット上においても配慮ある行動が必要です。
参考になるサイトをご紹介します。

10.大人が心がけたいこと
わが子と言っても、親とは違う人間です。
分からない、難しいと感じるのは当然です。完璧である必要はありません。
不安になりすぎず、焦りすぎずに、子どもといられる貴重な時間を楽しんでください。
その子が1年生の時は、その子の親の1年生です。

第1部元校長先生のおはなし
この講義の前週には元校長先生による保護者向けの講座と子ども教室がありました
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