赤ちゃんとお母さんの感染予防~妊娠中に気をつけてほしい感染症~

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ページ番号1020262  更新日 平成31年4月2日

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 妊娠中に感染すると、お腹の中の胎児や生まれてきた新生児に影響を及ぼす場合があります。感染予防対策について正しい知識を身につけておくことが大切です。

 細菌やウイルス等の病原体に感染すると症状がでて妊婦さん自身が気が付くものもありますが、自覚症状が乏しい場合も少なくありません。胎盤や血液を通じて胎児や新生児に感染してしまい、何らかの影響を及ぼす場合があります。感染予防対策について正しい知識を身につけ、母子感染を予防しましょう。

トーチ症候群

 母体の症状はごく軽いか、もしくはほとんど無症状であっても、胎児の脳や目、耳、心臓などに重い障害や流産を引き起こす恐れのある一群の感染症があります。それぞれの病気の頭文字をつなげて、トーチ(TORCH)症候群と総称されています。

(1) トキソプラズマ症(Toxoplasmosis)
(2) 他の感染症(Other infections:梅毒・B型肝炎・水痘・EBウイルス等)
(3) 風しん(Rubella)
(4) サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)
(5) 単純性ヘルペス(Herpes simplex virus)

 これらの感染症は、人から人へとうつるものもありますが、ペットや家畜などの動物や食べ物・飲み物から感染するものもあります。清潔を心掛け、外出後は手洗い・うがいを欠かさないこと、子どもや動物のだ液や糞尿に触れた場合には特によく手を洗うことなど、日常生活の中で注意し、妊娠中に初めて感染することを防ぎましょう。

 

トキソプラズマ症

ネコ科動物に寄生するトキソプラズマという原虫が、土や水・食肉を介して目や口から感染します

 加熱が不十分な肉や肉の加工品を食べたり、猫のフンやフンに汚染された土に触れた手を介して感染します。妊娠中は肉は十分に加熱調理し、ユッケ、馬刺し、生ハム、生乳等の飲食を避けましょう。ガーデニングや畑仕事をするとき、猫のフンを扱うときには手袋をつけ、終わったら流水で十分手を洗いましょう。

 

サイトメガロウイルス感染症

ヒトの母乳・だ液・尿などの体液から感染します

 サイトメガロウイルスはありふれたウイルスで、多くの人が子どもの頃に感染し、特に病気を起こすことはありません。ウイルスは、感染している子どものだ液や尿などに多く存在します。小さな子どもと関わる時や、第2子を妊娠中、上のお子さんの世話をする時などは、感染しないように食器の共用を避け、子どもの食べ残しは食べないようにし、オムツ替え後は手洗いを十分に行ってください。

 

風しん

患者の咳やくしゃみに含まれる風しんウイルスを吸い込むことにより感染します

 発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする感染症ですが、明らかな症状がでないこともあります。妊娠初期に感染し、胎児に感染すると、難聴、白内障や緑内障、心疾患を起こすことがあります(先天性風しん症候群)。風しんの抗体検査を受けて免疫がない場合は、風しんにかかっている可能性のある人との接触は可能な限り避けましょう。また、免疫のない家族には、予防接種を受けてもらうようにしましょう。

 

梅毒

梅毒トレポネーマが、皮膚や粘膜の接触により感染し、全身に広がります

 性感染症の一つで、近年、患者報告数が増加しており、注意が必要です。妊娠中に感染し、胎児に感染すると、流産や早産、死産の原因になることがあります。また、治療を受けていない場合などに、赤ちゃんの神経や骨などに異常をきたす先天梅毒を発症することがあります。

 

水痘・帯状疱疹

 ほとんどの人が免疫を持っており、妊婦が発症することはまれです。しかし、妊婦が水痘を発症すると水痘肺炎を発症する危険があります。また分娩前後に水痘を発症した場合は、新生児に感染する確率が高いと言われています。

 

りんご病

ヒトパルボウイルスB19が病原体です

 妊婦が感染すると、流産、死産等の原因となることがあるので注意が必要です。感染後10~20日で現れる両頬の境界鮮明な紅斑がみられます。発熱はあっても軽度です。

 

赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条

日本周産期・新生児医学会、日本小児科学会
日本産婦人科学会、日本産婦人科医会

1 妊娠中は家族、産後は自分にワクチンで予防しましょう!

 風疹、麻疹、水痘、おたふくかぜは、ワクチンで予防できます。(注1)ただし、妊娠中はワクチンを接種できません。特に風疹は、妊娠中に感染すると、胎児に先天性風疹症候群を起こすことがあります。そこで、妊婦健診で、風疹抗体を持っていない、あるいは抗体の値が低い(注2・3)場合は、同居の家族に麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を接種してもらいましょう(注4)。
  注1:妊娠中でもインフルエンザ不活化ワクチンは安全かつ有効とされています
  注2:HI法で16倍以下、EIA法で8IU/ml未満
  注3:妊娠中の麻疹、水痘、おたふくかぜの感染の赤ちゃんへの影響はまだ分かっていません。妊娠前や
    産後に抗体を検査し、抗体を持っていない、または抗体の値が低いときは、ワクチンを接種すること
    で感染を予防できます
  注4:MRワクチンが推奨されるのは、麻疹に感染すると流早産の可能性があり、しかも若年成人の麻疹
    抗体保有率が低いためです

2 手をよく洗いましょう!

 手洗いは感染予防に重要です。特に、食事の前にしっかり洗いましょう。
調理時に生肉を扱う時、ガーデニングをする時、動物(猫など)のフンを処理する時などは、使い捨て手袋を着けるか、その後、丁寧に手を洗いましょう。

3 体液に注意!

 尿、だ液、体液などには感染の原因となる微生物が含まれることがあります。
ご自分のお子さんのおむつでも使い捨ての手袋を着けて処理するか、その後で、丁寧に手を洗いましょう。また、家族でも歯ブラシ等は共有せず、食べ物の口移しはやめましょう。妊娠中の性生活ではコンドームを着用し、オーラルセックスは避けましょう。

4 しっかり加熱したものを食べましょう!

 生肉(火を十分に通していない肉)、生ハム、サラミ、加熱していないチーズなどは感染の原因となる微生物が含まれることがあります。妊娠中は食べないようにしましょう。
生野菜はしっかり洗いましょう。

5 人ごみは避けましょう!

 風疹、インフルエンザなどの飛沫で感染する病気が流行している時は、人ごみは避け、外出時にはマスクを着用しましょう。
子どもはいろいろな感染症にかかりやすく、子どもを介して感染する病気もあります。
特に熱や発疹のある子どもには注意しましょう。

 

このページに関するお問い合わせ

青戸保健センター保健サービス係
〒125-0062 葛飾区青戸4-15-14 健康プラザかつしか内
電話:03-3602-1284 ファクス:03-3602-1298
Eメールでのお問い合わせはこちらの専用フォームをご利用ください。

金町保健センター保健サービス係
〒125-0042 葛飾区金町4-18-19
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新小岩保健センター保健サービス係
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