葛飾区史

第5章 暮らしの移り変わり


第3節 都市近郊の農村

■人々の祈願と信仰 :不動講

 葛飾区内の不動講は、成田山新勝寺を信仰の対象とするもので、希望者全員が参拝に行く形式のものが主流であった。
 新宿町の不動講は、正月、5月、9月の28日にムラで祀られている不動尊の前で僧侶を招いて先達とし、講員が祈祷をした後、かつては講員の家を順番に宿として使い、飲食をした。成田山にも年に一度日を決めてお参りに行く。
 このようにムラの中での祈祷行事と成田山に参拝に行くことを合わせて行っている例が多く、上小松町、本田梅田町、下小松町、堀切町や鎌倉町などで行われていた。
 また埼玉県三郷市谷口の成就院を信仰の対象とする不動講もある。成就院は「谷口の不動様」の名前で埼玉県南東部を中心に広い範囲の信仰圏を持つ寺院である。葛飾区内では水元猿町、水元小合上町などの人たちが3月28日の成就院の春期大護摩に参加していた。

新宿の不動講(平成27〔2015〕年)
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