葛飾区史

第5章 暮らしの移り変わり


第3節 都市近郊の農村

■人々の祈願と信仰 :

 豊作や厄よけを祈願するために、葛飾区内には著名な寺社を信仰する結社や特定の石造物などを信仰の対象とする集まりが存在した。これらは宗教宗派に属するものではなく、そのムラの人々による任意の信仰集団であった。
 葛飾区内には、夕顔観音や半田稲荷神社、柴又の題経寺(帝釈天)など江戸時代から江戸市中の人々を含む非常に広い範囲の人々の信仰を集める寺社が存在する。また、四国八十八カ所霊場の写し霊場として成立した各種の霊場巡りも江戸時代から昭和にかけて存在した。これらの中から昭和初期に区内に盛行していたものを中心に紹介していく。