葛飾区史

第5章 暮らしの移り変わり


第2節 低地で暮らす

■暮らしの工夫 :蚊柱

 池や湿地が多かったころは、夏になると蚊が多く、農作業をしているときや食事のとき、夜くつろぐときも蚊への対策が必要であった。下水や田んぼの排水路の付近は特に蚊が多く、夕方になると群れをなした蚊が柱のようになっていた。これを蚊柱と呼んでいた。
 夏の暑い盛りは夕飯を外で食べることもあった。これをソトメシと言っていたが、このときもうっかりすると口の中に蚊が入ってくる始末だった。そこでヨモギを乾燥させたものを焙烙(素焼きの土なべ)の上でいぶして蚊よけとした。また、夜寝るときは蚊帳が必需品であった。