葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■安心して住み・憩い・働き続けられるまちに向けて :京成本線荒川橋梁架替事業を契機とした堀切地区のまちづくり

 堀切地区にある京成本線荒川橋梁は、昭和6(1931)年に供用を開始した。その後、地下水の過剰なくみ上げにより、広域的な地盤沈下が発生し、橋梁付近も約3.4mの沈下が確認されている。沈下により低くなった堤防は、必要な高さまでかさ上げを行ったが、鉄道が通る橋梁部分と周辺はかさ上げができず、大雨で川が増水した際には、堤防が決壊する恐れがあるため、国は平成16(2004)年に橋梁架替事業計画を発表した注釈1-1
 橋梁架替が線路の移設を伴い、まちに大きな影響を与える計画であったこと、また、堀切地区は老朽化した木造建築物が密集する地域で防災面の課題を抱えていたこと、駅周辺商業の活性化なども課題となっていた。このことから、橋梁架替事業を契機に新たなまちづくりを進めようと、平成18(2006)年に地元自治町会や商店会などにより「堀切地区まちづくり検討協議会(現推進協議会)」が組織され、平成22(2010)年には「誰もが、堀切の魅力を楽しみ、住み続けられるまちづくり」を理念とした「堀切地区まちづくり構想」を策定した。その後、平成26(2014)年に特に防災性に課題のある堀切二丁目周辺・四丁目地区の整備案を作成し、これをもとに葛飾区は、平成27(2015)年に密集市街地総合防災事業注釈1-2の採択を受けた。また、同地区は、平成26(2014)年に東京都の不燃化特区注釈2に指定されており、災害に強いまちづくりが進められている。

現在の京成本線荒川橋梁の様子
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まちづくり会議の様子
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注釈1-1:京成押上線荒川橋梁では、昭和61(1986)年に河川の増水により運搬船の屋根が鉄橋に衝突する事故や、平成3(1991)年には、増水でタンカーが操船を誤って橋脚に衝突する事故が発生している。この事故を契機に橋梁の架け替えが行われ、京成押上線については、平成14(2002)年3月に完成した。
注釈1-2:高齢化の著しい密集市街地において、防災対策の推進とあわせ、多様な世帯の居住推進を図るため、子育て支援施設・福祉施設等の生活支援機能の整備を進めるなど、密集市街地における総合的な環境整備を行う事業。
注釈2:東京都による木密地域不燃化10年プロジェクトの実施に伴い指定されたもので、木造住宅密集市街地のうち大地震が発生した際、特に大きな被害が想定される地域を対象としている。特区に指定された場合、平成32(2020)年度まで重点的・集中的に不燃化促進に取り組み、また、木造住宅密集地域を燃え広がらない・燃えないまちにしていくため固定資産税・都市計画税の減免制度などの支援を受けることができる。