葛飾区史

第1章 葛飾の風土と自然


第2節 東京低地の成り立ち

■縄文海進以降の東京低地 :平安海進と海水面変動

 氷河は氷期と間氷期の繰り返しで発達したり溶けて縮小したりするので、地球上の海水の量が変化し、海水面の変化が起こる。
 8〜12世紀にかけて起きた地球規模の海水面の上昇が、日本の平安海進である。1100年頃には海水面は現在より約60㎝上昇し、文字で書かれた記録が残る時代では最高水準となっていた。
 父が上総国司であった菅原孝標女は、『更級日記』の中に下総国府(現千葉県市川市)周辺の景観を書いている。これには、市川の真間にある長者という人の家は既に水中に没し、門柱が川の中から出ていたという。柴又河川敷などの発掘調査では、平安時代の遺構は地表の2〜3m下から発見された。

奥東京湾地域における海面変化
戻る時は右上の×をクリックしてください