葛飾区史

第5章 暮らしの移り変わり


第2節 低地で暮らす

■池の多い土地 :魚捕り

 水元の小合溜井では、冬になると「カリコメ」と呼ばれる方法で魚を捕っていた。たくさんの人が寄り合って行う大掛かりなものであった。
 屋敷地に生えている木の枝を集めて束にし、小合溜井に運び、水の中に沈めておく。するとこの木の束の中に、コイやモクズガニなどが入り込む。そこでその周りを網でぐるりとゆるやかに囲っておく。何日かしてたくさんの魚が寄り付いたころ、網を完全に閉めてしまい、木の束を引き上げて魚を一網打尽にしてしまう。こうして捕獲した魚は漁に参加した人たちで分けて食べる他、業者に売ることもあった。このカリコメと呼ばれる漁は大正時代までよく行われていた。
 葛飾区内各所にあった小さな池ではカイボリをしていた。カイボリは、池の所有者が中心になって、友達や親戚をさそって冬に行うことが多かった。バケツや桶で池の水をくみ出して池の中の水を抜き、魚を捕る。冬に行うと、ナマズ、フナ、モロコやクチボソなどが捕れる。夏に行うとエビが多く捕れた。

水元の小合溜井(昭和11〔1936〕年)
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中川で行われていた漁(大正時代末期、奥戸橋付近)

簀を張り潮の干満を利用しながら魚を捕獲する簀立て漁。
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