葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■人と自然が共存できる環境を未来へつなぐために :自然環境保護・緑化の取り組み

 葛飾区は、荒川、江戸川、中川や新中川などの河川に恵まれ、水田や畑が多く、都内でも比較的豊富な自然環境を有していた。しかし、急速な都市化の進展に伴い自然環境が悪化し、保護・再生や緑地の確保が課題となってきた。
 貴重な自然環境を保護するため、平成元(1989)年、葛飾区は水元さくら堤の一部を最初の自然保護区域に指定し、フジバカマ注釈1自生地の保護を進めた。さらに、水元小合溜の水質が悪化したことで失われた自然環境を回復させるため、平成元(1989)年から平成7(1995)年にかけて「水元小合溜水質浄化対策事業(カムバックかわせみ作戦)」を行い、水質浄化センターの設置などを行った。平成9(1997)年に葛飾区は、古隅田川の一部を最初の自然再生区域に指定し、生態系の復元も図ってきた。
 平成26(2014)年には、葛飾区民・事業者・区からなる生物多様性推進協議会と協働で、身近にいる生き物を遊びながら学べる「かつしか生きものトランプ」を作成するなど、区民と区が一体となった取り組みを進めてきた。
 また、葛飾区民が快適に生活できる環境の実現に寄与するため、緑化を推進してきた。緑地の大部分を占め、オープンスペースも確保できる公園の整備は、区民ニーズや地域の特徴を踏まえながら進められた。昭和40年代には交通ルールを学べる公園が、昭和50年代後半からは、下水道の整備に伴い廃止となった水路を活用した公園が整備された。その後、平成に入ると、防災活動拠点公園や水辺を活用した公園が多く整備された。また、昭和50(1975)年、貴重な樹木を保護し後世に残すため、保存樹木・樹林の指定を始めた。昭和58(1983)年には伐採される樹木を区が引き取り、必要な区民にあっせんするグリーンバンク制度を創設し、その後、屋上・壁面緑化の助成を開始した。また、緑化推進協力員と協働して緑の普及に努めてきた。
 平成25(2013)年には、緑化意識を促すため、駅前広場や公園の花壇などを地域住民が主体となり花と緑で彩られた空間にする「かつしか花いっぱいのまちづくり」プロジェクトを開始した。翌年には「、かつしか花いっぱいのまちづくり推進協議会」を設立し、協働でプロジェクトを推進している。

水元さくら堤に自生するフジバカマ
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水元公園に生息するカワセミ
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かつしか生きものトランプ
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特色ある公園

交通ルールを学べる新宿交通公園
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特色ある公園

中川沿いに整備された東立石緑地公園
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注釈1:キク科の多年草で、川岸などに生える。秋の七草の1つ。環境省によって「準絶滅危惧種」に指定されている。