葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■人と自然が共存できる環境を未来へつなぐために :資源循環型地域社会に向けた取り組み

 昭和30年代後半、東京都はオリンピック開催に向けて、道路に設置されていた固定式ごみ箱を撤去するなど、まちの美化・美観を推進してきた。このような中、昭和39(1964)年に葛飾区および周辺区のごみ処理施設として、水元に葛飾清掃工場が建設された。建設当時8万4072tであった区内のごみ収集量注釈1-1は、大量生産・大量消費の時代へと向かう中で、昭和50(1975)年には16万8689tに、昭和60(1985)年には17万9619tと増加傾向が続き、ごみの減量が大きな課題となっていた。
 このため、平成3(1991)年に各拠点においてびん・缶の分別回収を開始し、地域の集団回収への支援を行うなど、資源回収によるごみの減量を進めてきた。この結果、平成10(1998)年度のごみ収集量は14万7645tに減少している。さらに、平成12(2000)年4月に東京都から特別区に清掃事業が移管されたことで、より区民に身近な区がごみ収集などを行うことになった。これにより、従来の「消費する・捨てる」という考え方から「ごみの発生を抑制する・再使用する・再生利用する」といった3R注釈1-2の考え方へ本格的に転換し、資源循環型地域社会注釈2への取り組みを進めていくことになった。
 葛飾区内全域のごみ集積所における資源回収は、平成11(1999)年にビン・缶・古紙で開始し、平成18(2006)年にペットボトル・紙パック・雑紙・食品トレイを、平成20(2008)年にはプラスチック製容器包装を追加した。
 そのような中、ごみ減量化への協働の取り組みとして、平成15(2003)年に、区民・事業者・区からなる「かつしかごみ減量・リサイクル推進協議会」が設立され、平成18(2006)年に毎月5日を「ごみ減量の日」と定めた他、「かつしかルール」として平成23(2011)年には「雑紙の資源化」、平成25(2013)年には「生ごみの減量」を決定した。さらに、平成23(2011)年には、エコライフ・3Rの学習・実践・活動の拠点として「かつしかエコライフプラザ」を開設した。
 このような取り組みにより、平成25(2013)年度にはごみ収集量が8万7162tとピーク時の半分以下に減少した。また、資源回収量は平成10(1998)年度の1万1482tから平成25(2013)年度の2万6127tに増加しており、資源循環型地域社会を目指した取り組みの成果が表れている。

葛飾区のごみ収集量(持込ごみを除く)(昭和39〔1964〕〜平成27〔2015〕年度)

平成10(1998)年より年度で統計。
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葛飾区の資源回収量(平成10〔1998〕〜平成27〔2015〕年度)
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現在の葛飾清掃工場

平成18(2006)年に改築した。
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子ども向け環境学習の様子
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注釈1-1:持込ごみ(事業者が直接清掃工場に持ち込んだごみ)を除く。
注釈1-2:廃棄物処理やリサイクルを推進する上での優先順位。「①ごみの発生抑制(Reduce)」「②再使用(Reuse)」「③再生利用(Recycle)」の頭文字を取っている。
注釈2:資源の再利用により、天然資源の消費を抑え、環境への負荷をできる限り低減する地域社会。