葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■安全で安心して暮らせるまちづくりへ :東日本大震災と新たな防災対策

 葛飾区は、東日本大震災の震源である三陸沖からかなり離れていたにもかかわらず、液状化などの被害の発生や、交通機関の麻痺に伴い発生した帰宅困難者の対応に追われた経験を踏まえ、今後発生が想定される首都直下型地震注釈1だけでなく、想定外の災害にも対応していくことが求められている。平成25(2013)年度改定の防災計画で用いられた、自分の命は自分で守る「自助」、周りや地域の人たちと助け合う「共助」、行政が地域を守る「公助」という防災理念のもと、区民および関係団体・機関や区が協働で災害対策に取り組む必要がある。
 このため、平成25(2015)年度からの「葛飾区基本計画(25〔2013〕年度〜34〔2022〕年度)」では、減災協働プロジェクトを11の重要プロジェクトの1つとして掲げた。 
 その後、ハード面では、学校避難所へのマンホールトイレの設置や公共施設への非常用発電設備などの整備を平成25(2013)年度からの3年間で行う緊急プロジェクトに位置付け進めている。また、平成26(2014)年度からは地盤液状化対策として地盤調査への補助を開始した。さらに、耐震診断・改修の補助の拡大や、情報連絡体制の強化として高所カメラの設置などを進めてきた。
 ソフト面では、地域の防災資源を活用して、地震や水害などの災害にどう立ち向かっていくかを地域住民が主体となって検討する「地域別地域防災会議」の中で、地域の防災マニュアル策定を進めてきた。また、「学校避難所」の自主運営の強化に向けた取り組みも進めてきた。
 今後も区民と葛飾区が一体となり、大規模震災や近年、東京でも頻発している都市型水害注釈2などの災害危機に備えた取り組みを進めていくことが求められている。

区民と葛飾区との協働による防災訓練

平成25(2013)年10月6日に葛飾にいじゅくみらい公園で実施した葛飾区総合防災訓練の様子。
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注釈1:今後30年の間に首都地域において約70%の確率で発生するとされているマグニチュード7クラスの直下型地震のこと。
注釈2:都市部のアスファルト舗装の道路や、密集したコンクリート建物が地中への雨水の浸透を低下させ、局地的な豪雨により、雨水が下水道や中小河川からあふれ出し、道路や低地の冠水、繁華街や地下街での浸水による被害が発生すること。