葛飾区史

第1章 葛飾の風土と自然


第1節 葛飾の自然環境

■地形から見た葛飾区 :葛飾区の土地の性質

 葛飾区周辺の土地の性質を類型化した地形分類図には、かつて川が流れていた跡である旧河道、その両岸に洪水の度に土砂が運ばれて堆積してできたわずかな高まりである自然堤防、背後に水はけが悪く盆状の後背湿地が広く分布している。
 古隅田川沿いには、自然堤防とともにかつて海岸線であった頃につくられた砂州注釈1(陸起砂州)が東西に分布する。特に千葉県市川市付近の砂州は規模が大きく、『万葉 集 』にうたわれた真間の手児奈の時代には大きな入り江(ラグーン)であった。
 亀有付近の地形分類図を見ると、葛飾区と足立区の境となっている古隅田川周辺には多くの旧河道がある。蛇行が激しい所を東西に走る江戸時代の水戸佐倉道は、砂州上を通り、その先には中世に起源をもつ宿場町新宿 があった。また、対岸に築城された葛西城は自然堤防上にあった。このように、微地形といわれるわずかな起伏は、集落の立地や人々の生活に大きな影響を与えてきた。

亀有付近の地形分類図
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葛飾区周辺地形分類図
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注釈1:水の流れにより運ばれた砂が堆積してできた地形のこと。岬や湾の出口などに細長くできることが多い。