葛飾区史

第1章 葛飾の風土と自然


第1節 葛飾の自然環境

■地形から見た葛飾区 :東京低地の概要

 葛飾区が立地する東京低地は、利根川・荒川の堆積作用によってつくられた沖積平野で、軟らかい砂や泥でできている。
 約 6000 年前の縄文海進以降、山間部の土砂は河川によって運ばれ、低地を形づくっていった。
 沖積平野は、上流から扇状地、自然堤防、三角州に分けられる注釈1。三角州の先には干潮の時に干潟があらわれる。
 自然堤防地帯は、荒川低地・加須低地・中川低地で、標高は2m程と低い。三角州は、東京都と埼玉県草加市の境にある毛長川より下流部で、東京低地も含まれる。1㎞の標高の変化は 40㎝程と極めて傾きが緩やかな土地である。
 現在は市街地になり表土がアスファルトに覆われているが、地表には河川が形づくった地形が多く残されている。また、葛飾区の全域には沖積層注釈2が厚く堆積している。

東京の自然と人工物の変遷

東京の地形は、東西に長く、西部の丘陵(図面より西は山地)から、台地、東部の低地と徐々に低くなっている。
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関東低地の概要
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注釈1:扇状地とは、川が山地から平地へ流れ出る所などにできる扇状に堆積した地形のこと。自然堤防とは、河川が氾濫や堆積を繰り返すことで川の両岸に形成される微高地のこと。三角州とは、河運搬してきた土砂が河口付近に堆積してできた地形のこと。
注釈2:約2万年前の最後の氷河期以降に堆積した地層のこと。