葛飾区史

第1章 葛飾の風土と自然


第1節 葛飾の自然環境

■地形から見た葛飾区 :東京低地のゼロメートル地帯

 東京低地には海水面以下のゼロメートル地帯が多い。ゼロメートル地帯に関心が集まったのは、昭和 34(1959)年9月 26 日の伊勢湾台風である。愛知県名古屋市と周辺部の低地は、高潮注釈2で浸水する被害を受けた。ゼロメートル地帯が形成される要因の1つに地下水のくみ上げによる地盤沈下があるが、東京低地では、大正4(1915)年に沈下が確認され、大正 12(1923)年の関東大震災以降、江東地区の異常沈下が判明した。昭和5(1930)年、戦時下の産業活動停滞の影響で一時沈静化したが、昭和 30 〜 40 年代の高度成長期に地盤沈下はピークとなった。その後昭和 31(1956)年の「工業用水法」などの整備により、昭和 50 年代からは隆起に転じている。
 現在の葛飾区の地盤高は、北東部の水元では+ 3.8 m(T.P. 東京湾中位水位の平均海面)、南西部にかけて低くなり荒川放水路に沿ってゼロメートル地帯がある。

東京の低地帯分布状況
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注釈2:台風や発達した低気圧が通過するときに潮位が大きく上昇すること。原因としては、気圧による吸い上げ効果や、強い風が沖から海岸に向かって吹く吹き寄せ効果がある。