平成23年第1回葛飾区議会定例会区長所信表明要旨

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1005402  更新日 平成23年2月21日

印刷 大きな文字で印刷

葛飾区長 青木克德の写真
葛飾区長 青木克德

 平成23年第1回区議会定例会の開催に当たりまして、今後の区政運営の基本的な考え方について、私の所信の一端を申し上げ、議員各位のご理解とご協力をお願いする次第であります。

 わが国の経済は、リーマンショック後の急減速からの回復途上にある中、エコポイント制度やエコカー補助金などの経済政策が昨年秋以降順次見直されるとともに、円高基調による輸出の低迷などを背景として一時的に足踏み状態を示していました。

 ここにきて自動車の販売・生産に底打ち感が見られるなど、一部に持ち直しの動きがあり、海外経済にも改善の動きがみられております。

 このような中、本区の23年度予算編成は、歳入の主要を占める特別区交付金や特別区民税に若干の回復を見込んでおります。

 しかしながら、失業率は依然として高水準にあるとともに、海外経済の下振れ懸念や為替レートの変動などにより、今後の国内景気は下振れするリスクもあるといった不透明な状況となっております。

 一方、歳出面では、生活保護費の急増や子ども手当の平年度化などにより扶助費が大幅に増えているとともに、住民情報系システムなどの電算関連経費や国民健康保険をはじめとする特別会計への繰出し金が大きく伸び、さらに、総合スポーツセンターをはじめとした施設改修も増加するなど、引き続き厳しい財政環境下にあります。

 このような状況下にありましたが、平成23年度の予算編成にあたっては、新たなルールを作っての財政調整基金からの繰入れを含め、これまで培ってきた積立基金や起債余力等の財政対応能力を最大限活用して、「夢と誇りあるふるさと葛飾」の実現に向けた積極的な予算とすることができました。

 平成23年度の当初予算のフレームは、「一般会計」では、1,701億円を計上し、前年度と比べて金額で177億7千万円、率で11.7%の増となっております。また、「国民健康保険事業特別会計」などの5つの特別会計を合わせた合計では、2,680億320万円となり、金額で327億7,860万円、率にして13.9%の増となっております。

 次に、「平成22年度の経営改革の取組結果」について申し上げます。

 限られた行財政資源で良質な区民サービスを提供しつづけるためには、事務事業の効率化や職員数の削減といった不断の見直しを進めることが不可欠であると認識しております。

 こうした考え方に基づき、平成23年度に向けましては、高齢者向け優良賃貸住宅の計画戸数の見直しや、知的障害児等訓練事業の実施体制の見直しに伴う国庫負担金等の活用などにより、約1億2百万円の財政効果を生み出すとともに、職員人件費につきましても、給食調理委託校の拡大など、執行体制の見直しによって職員36人を削減し、約3億2千4百万円の財政効果を生み出したところであります。

 今後とも、絶えず区民サービス提供の仕組みを見直しながら、社会経済状況の変化にも迅速かつ柔軟に対応できる、きめ細やかで質の高い区政運営を実践してまいります。

 

 次に、「夢と誇りあるふるさと葛飾」を実現していくための「重要施策及び重点事業」について、その概略を申し上げます。

 はじめに、「子どもが元気に育ち、豊かな人間力を育む環境づくり」について申し上げます。
まず、「保育園の待機児解消への取組み」についてであります。

 新年度においても、これまでと同様に待機児の多く発生している地域を優先にした保育所の整備を行ってまいります。具体的には、平成23年4月1日に、堀切地域に定員66名の「(仮称)かつしか保育園」、奥戸地域に定員24名の「奥戸保育園」分園がそれぞれ開設となります。

 また、平成23年10月には、定員72名の「(仮称)四つ木五丁目保育園」が四つ木地域に開設されます。なお、「(仮称)かつしか保育園」及び「(仮称)四つ木五丁目保育園」では、「一時保育」、「子育てひろば」等の多様な保育事業を実施し、待機児解消とともに保育事業の充実を図ってまいります。

 そして、認証保育所につきましては、平成23年5月1日に金町駅前の再開発ビル「ヴィナシス金町」の2階に定員33名の「(仮称)金町駅周辺認証保育所」が開設されます。

 

 次に、「三人乗り自転車購入費助成事業」についてであります。

 児童館や保育園等を利用する保護者を対象としたアンケート結果を踏まえ、三人乗り自転車を購入する子育て中の保護者に対して、3万円を上限に購入費の2分の1を助成する事業を実施いたします。なお、区内商業の振興を視野に入れ、購入先を区内の東京都自転車商協同組合加盟店に限定いたします。

 

 次に、「保健所及び(仮称)子ども総合センターの開設」についてであります。

 保健所及び(仮称)子ども総合センターは、本年7月19日の開設に向けて準備を進めており、3月には本体工事が終了する予定であります。

 施設の開設を契機に、母子保健施策と子育て支援施策を緊密に連携させ、区民にとって身近で利用しやすいものにいたします。そして、発達相談や児童虐待への対応など、各種事業の拡充に努めてまいります。なお、施設内に設置する「子育てひろば」と「親子カフェ」につきましては、後期「子育て支援行動計画」推進の重要な視点である「区民や民間団体との協働」を実現する一環として、企業、NPO、地域ボランティアなどの区内関係団体とともに事業を展開してまいります。

 

 次に、「教育振興ビジョンの推進」について申し上げます。

 はじめに、「小中一貫教育の推進」についてであります。

 松上小学校と新小岩中学校は、本年4月に葛飾区初の小中一貫教育校「新小岩学園」として開校します。新小岩学園では、現行の6・3制を基本に、義務教育9年間の学びと育ちを見通した、連続性のある学習指導、生活指導等の教育活動を行います。あわせて、授業・学校行事・部活動など様々な機会を通じて、小学生と中学生の交流を図り、豊かな人間性や社会性を育んでまいります。

 

 次に、「スクールソーシャルワーカーの配置」についてであります。

 現在、小中学校に定期的にスクールカウンセラーを配置しているところでありますが、平成23年度からは、新たに社会福祉士等の資格をもつスクールソーシャルワーカーを配置し、児童・生徒の生活支援や虐待等の相談を行い福祉サービスに適切につなげ、児童・生徒の健全な育成を支援してまいります。

 

 次に、「学力向上への取組み」についてであります。

 小学校では平成23年度から、また、中学校では平成24年度から全面実施される新学習指導要領では、基礎・基本的な学力の定着を図るため、授業時間数や学習内容が増加しております。本区では、これに対応するため、「葛飾教育の日」として土曜日授業を年間11回実施し、学習機会の拡大を図ります。また、本区独自の学習教材を作成するなどして、学力の向上に取り組んでまいります。新たに導入される小学校5・6年生の外国語活動につきましても、英語の指導補助員の配置を拡充して円滑に進めてまいります。

 

 次に、「特別支援教育の推進」についてであります。

 平成23年度は、直接指導を行う巡回指導員を30校に配置するとともに、特別支援教育心理専門員を増員することにより、教育関係者、学識経験者、特別支援学校コーディネーターとによる専門家チームの派遣を強化して、児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実を図ってまいります。

 

 次に、「中青戸小学校の改築」についてであります。

 平成23年度は、現在進めている基本設計をもとに実施設計を行います。また、改築工事期間中の児童の運動場所を確保するために隣接する青戸平和公園の一部に必要な工事を実施するほか、プールの解体工事を行ってまいります。新校舎は、平成26年度の完成を予定しておりますが、子どもたちの豊かな教育環境を整備し、地域の顔となる施設として、末永く地域の方々からも親しまれる学校をつくってまいりたいと考えております。

 

 次に、「ともに支えあい、いきいき暮らせる健康づくり」について申し上げます。

 はじめに、「医療連携事業」についてであります。

 高齢化の進展と入院日数の短縮化により、在宅で療養生活を送る高齢者等の増加が見込まれる中、安心して在宅療養が続けられる医療体制の整備が課題であると認識しております。このため、地域の病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護ステーション等、地域医療を担う関係機関の連携体制を構築することを目的に、地域医療連携協議会を設置いたします。関係機関の方々のご協力とご理解のもと、在宅医と専門医の連携をはじめ、退院時の円滑な調整等、区民に必要な医療体制の整備を図ってまいります。

 

 次に、「予防接種費用の助成事業」についてであります。

 がんの中で唯一ワクチンにより予防できる子宮頸がんについて、平成23年度においては、中学1年生から高校1年生までの女性を対象に予防ワクチン接種費用を全額区が負担してまいります。

 また、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンについて、区民に接種機会を広く提供するため、対象範囲をこれまでの1歳以上2歳未満から生後2か月以上5歳未満に広げます。あわせて助成回数を増やすなど、接種費用の一部助成を拡大してまいります。

 

 次に、「妊婦健診」の充実についてであります。

 安心・安全な妊娠・出産を迎えるために行う妊婦超音波検査について、現行では35歳以上としている年齢制限を撤廃し、妊婦の方全員が検査を受けられるようにいたします。

 

 次に、「地域包括支援センターの機能強化」についてであります。

 本区では、区内7つの日常生活圏域毎に地域包括支援センターを1か所設置しているほか、高齢者人口や交通の利便性などを考慮して、現在、分室を1か所、出張相談窓口を2か所設けております。今後ますます増大する高齢者のニーズに対応するため、平成23年度から分室を増設し、6か所の分室と1か所の出張相談窓口といたします。これにより、日常生活圏域毎に2か所の窓口体制を整え、お住まいからより近くで気軽に相談でき、これまで以上に高齢者に身近な窓口としてまいります。

 

 次に、「介護予防推進事業」についてであります。

 新たな介護予防のモデル事業として、高齢者の方々が日常生活の中で、つまずいたり、ふらついたりすることなどを防止するため、公園に専用の運動器具を設置し、高齢者に体力の維持・向上と運動の習慣化の指導を行う「うんどう遊園事業」を実施いたします。この事業では、区民を指導員として養成するとともに、自主活動団体の育成も併せて行ってまいります。

 

 次に、「障害者施策推進計画の策定」についてであります。

 平成23年度に障害者施策推進計画策定委員会を設置し、平成24年度から平成29年度までの6か年を計画期間とした障害者施策推進計画を策定いたします。平成22年に実施しました障害者意向等調査や障害者団体ヒアリングの意見を基礎資料とし、策定委員会の中で協議をしていただきます。

 

 次に、「障害者就労訓練システムの整備」についてであります。

 国は、「福祉から雇用へ」推進5か年計画に基づき、平成20年度から各自治体において、障害者が一般雇用に向けて経験を積む「チャレンジ雇用」の推進・拡大を図っております。

 本区におきましても、平成23年度から、知的障害者の方を臨時職員として雇用し、個別支援プログラムに基づき、経験や技能を高めながら一般就労に結びつけていく「葛飾区チャレンジ雇用」を実施し、新たな障害者雇用促進モデルとして、より一層の就労訓練システムの充実を図ってまいります。

 

 次に、「フィットネスパーク整備事業の推進」についてであります。

 今年度は、昨年3月に策定した基本計画を踏まえ、東京都や温水プールの熱源供給元である東京二十三区清掃一部事務組合との協議を重ねながら、基本設計を行ってまいりました。平成23年度は、この基本設計に基づき実施設計を行うとともに、関係する機関と詳細な詰めの作業を進めてまいりたいと考えております。

 

 次に、「スポーツ施設のリフレッシュ」についてであります。

 総合スポーツセンター体育館は、昭和59年の開館以来26年が経過し、各所に経年劣化が見受けられるため、緊急性の高い箇所から順次、改修整備を行っているところであります。平成23年度においては、電気設備及び給排水設備等、総合スポーツセンター体育館の大規模改修工事を行います。その際、昨年の猛暑による体育館内等での熱中症発生の状況や高齢者の利用が増大することなどを踏まえて、大体育室、小体育室、第一・第二武道場、弓道場へ新たにエアコンを設置し、快適で安全にスポーツを楽しめるようにいたします。

 

 次に、「住み続けたいと思える安全、安心なまちづくり」について申し上げます。

 「業務継続計画の管理運用(BCM)」についてでありますが、大地震や強毒性の新型インフルエンザが発生した際、優先業務を効果的に遂行するために策定する業務継続計画(BCP)について、職員の習熟や計画の継続的な見直し・改善により実効性を確保していくため、訓練・研修の実施や課題の抽出・改善など、計画の管理運用の仕組みを確立してまいります。

 

 次に、「葛飾の良さを活かした、魅力と活力あふれるまちづくり」について申し上げます。

 はじめに、「産業の活性化」についてであります。

 まず、昨年10月に創設し、申込期間を本年3月末までとしておりました債務一本化融資制度を延長いたします。さらに、店舗等改善資金融資制度の創設や設備リース料に係る補助制度の実施により、引き続き、区内中小・零細企業を強力に支援してまいります。

 雇用対策につきましては、厳しい就職状況にある新規学卒者を対象とした就職支援セミナーを新たに開催するなど、若年者の雇用対策に積極的に取り組んでまいります。

 商業・工業対策といたしましては、商店街セール支援や、区内産業団体の区民向けイベントを支援する産業活性化助成、さらに、商店街元気再生プロジェクト事業や葛飾町工場物語事業を引き続き実施してまいります。また、国内最大の技術系見本市「機械要素技術展」への出展ブースを拡大し、本区若手職員による企業PR等を実施いたします。

 そして、平成25年4月の東京理科大学の開学に合わせ、産学公の連携を積極的に推進するため、区内中小企業及び東京理科大学双方のニーズやシーズの調査を実施してまいります。
次に、「観光振興」についてであります。

 東京スカイツリーを訪れる観光客を本区に誘致するため、観光PR用DVDの制作や観光情報誌の発行、観光ホームページの携帯用サイトの作成などにより、葛飾区の魅力をより多くの方々に積極的に発信してまいります。

 また、近隣区と共同して観光マップを作成するほか、区内のスカイツリービューポイントの紹介、NPOとの協働による外国人客誘致事業の実施により、国内外の観光客を誘致するための環境整備を進めてまいります。さらに、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の映画化といった全国的な話題となる機会を捉え、亀有・堀切・浅草間のラッピングバスの運行や「こち亀イベント」の実施により、テレビなどのマスメディアの発信力を活用したPRに努め、本区のより一層の知名度アップを図ってまいります。

 区内産業の活性化につきましては、今後とも経済社会状況を的確にとらえ、先を見通して、先手、先手の施策に取り組んでまいります。

 

 次に、「JR常磐線金町駅東側南北道路拡幅整備事業」についてであります。

 JR常磐線金町駅東側南北道路につきましては、平成16年度より拡幅整備を進めてまいりましたが、関係各位の協力をもちまして、本年7月に完成する運びとなっております。これにより、歩行者・自転車の安全が確保され、緊急時には消防車などの大型自動車の通行が可能となり、さらには、金町駅周辺の回遊性向上や南北商業圏の活性化を促進する道路になると期待しております。

 

 次に、「新小岩駅周辺開発事業」についてであります。

 新小岩駅南北自由通路につきましては、JR東日本及びJR貨物との基本協定に基づき、概略設計を実施しているところであります。今後も、詳細設計や都市計画決定、工事用地の確保など、処理すべき事項が多くありますが、一日も早い自由通路の整備に向けて精力的に取り組んでまいります。

 また、新小岩東北交通広場、北口連絡通路につきましては、来月上旬には供用開始ができるよう、交通管理者やバス、タクシー事業者など、関係機関と最終的な詰めの協議を行っているところであります。

 

 次に、「区民とともに築く、人にやさしく住みよいまちづくり」について申し上げます。

 はじめに、「葛飾区環境基本計画(第2次)の推進」についてであります。
平成23年度からスタートする「葛飾区環境基本計画(第2次)」に基づき、区民、事業者、区が連携・協働し、人づくりやネットワークの形成など環境施策を進める体制づくりを進めてまいります。まず、23年度につきましては、環境活動団体等のネットワーク化や環境行動の担い手の育成等を重点的に実施いたします。また、民間建築物における環境負荷の低減を図るため、区民・事業者に向けた環境配慮のためのガイドラインを作成するなど、区民や事業者との連携のもと、着実に事業を推進してまいります。

 

 次に、「(仮称)新宿六丁目公園の整備」についてであります。
新宿六丁目地区につきましては、「東京理科大学 葛飾キャンパス」を核とし、地区計画制度の活用や都市計画公園の整備など、未来を見据えた魅力ある街づくりを進めているところであります。平成23年度は、これまでの造成工事に続いて、平成25年度の開園に向け、公園施設の整備工事に着手し、地域の文化・交流の場となる公園づくりを進めてまいります。

 

 次に、「民営自転車駐車場整備補助事業」についてであります。

 駅周辺の買い物客などによる自転車の放置を防止し、また、放置自転車によって妨げられる交通の安全性や円滑性などを改善するため、短時間利用の無料化など区が設定した一定の条件を満たす自転車駐車場の設置に対し、その設置費用や管理費用の一部を補助する制度を新たに設け、民営自転車駐車場の整備を促進してまいります。

 

 次に、「省エネ法に基づく施設整備計画の推進」についてであります。

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の改正に伴い、昨年は区長部局・教育委員会それぞれに中長期計画を策定し、国へ報告したところであります。今後は計画に定めたエネルギー使用量の削減目標の達成に向け、「葛飾区環境配慮指針」を適切に運用しながら、着実に省エネに資する施設整備や改修を進め、エネルギー使用量の低減を図ってまいります。

 

 次に、「清掃事業」についてであります。

 本年6月に開設を予定しております「かつしかエコライフプラザ」においてエコライフ実践への取組みを推進するなど、今後とも、区民、事業者、区の連携・協働による「資源循環型地域社会かつしか」の構築を目指してまいります。

 

 次に、「時代の変化に対応できる迅速・柔軟な取り組み」について申し上げます。

 はじめに、「新基本計画の策定」についてであります。

 現基本計画は、平成18年度から平成27年度までの10年間を計画期間としておりますが、現計画のリーディングプロジェクトである「元気満10プロジェクト」の達成にも目途がついてきたものと認識しております。一方、近年の社会経済状況の急速な変化への対応が求められていることに加え、我が国の人口が減少していく中で、本区においても現時点で平成35年以降は人口減少に向かうことが予測されております。これらの社会経済情勢も視野に入れつつ、「夢と誇りあるふるさと葛飾」の実現に向け、めざすべき区の将来像を描くとともに、新たな施策の展開を図り、時代に即応した戦略的かつ計画的な区政運営を進めていくため、平成25年度を初年度とする新基本計画の策定に着手いたします。

 次に、「郷土と天文の博物館開館20周年事業」についてであります。

 郷土と天文の博物館は、平成3年7月に開館し、様々な事業を展開してまいりました。今年は、20周年の節目を迎えることから、記念事業として、春・秋に企画展を、夏には特別展を開催し、ふるさと葛飾の魅力を区内外に広く伝えてまいります。また、20周年記念特別プラネタリウム番組として「宇宙創世」を制作するほか、開館以来上映している「こども番組」を最新の宇宙科学を取り入れた番組にリニューアルし、科学教育の一層の普及を図ってまいります。さらに、購入から1年間、何度でも入館し、プラネタリウムも観覧できる年間パスポートを新たに販売してまいります。

 

 次に、「区有施設の有効活用」についてであります。

 一昨年暮れの就任以来、私自身、様々な施設を回り、自らの目で区有施設の状況を確認してまいりましたが、残念ながら、利用率が低く、非効率な利用実態となっている施設が一部に見受けられます。今後は、運営方法の変更や機能転換等も含めた見直しを進め、区有施設の効果的・効率的な活用を図ってまいりたいと考えております。一方、これまで一元化されていなかった施設台帳、図面、定期点検等の建物情報を電子化し、発注から工事、保全までを総合的に管理していくシステムを構築することで、ストックマネジメントを適切に行い、区有施設の長寿命化や有効活用を図るための取組みの一環としてまいります。

 

 最後に、「総合庁舎整備基金」について申し上げます。

 総合庁舎本館及び議会棟は昭和37年の竣工で築49年、新館は昭和53年の竣工で築33年が経過し、経年劣化や機能の陳腐化、耐震性の不足など様々な不具合が生じてきております。特に本館は、昭和30年代に建設された世田谷区、北区、豊島区などに続き23区でも最も古い庁舎の一つであります。

 「総合庁舎建築・設備劣化等調査」では、総合庁舎の劣化状況とそれに伴う改修費用や耐用年数、耐震性、さらに今日の庁舎に求められる機能等を考慮すると、大規模改修は費用対効果を望めず、建替えが有効であり、今後10年程度を目途に建替えの検討を進めていくことが望ましいとされました。

 2年間の庁内での検討を踏まえ、今年度は区内各地域の代表や学識経験者等からなる「葛飾区総合庁舎整備のあり方検討委員会」を設け、区民の皆様のご意見を伺っております。昨年11月には、建物・設備の経年劣化をはじめ、狭隘化、防災拠点としての機能不足、バリアフリー対応等の課題を踏まえると、抜本的な対策として総合庁舎の建替えを前提に、今後の検討を進めるべきであるとの「中間とりまとめ」が行われました。

 本館・議会棟は11年後の平成34年には築60年を迎えることとなり、区といたしましても建替える時期に来ていると考えております。また、総合庁舎建替えに際しては、多額の経費が必要となることは明らかであり、財源の確保が大きな課題となってまいります。その際、中長期的な財政負担の平準化を図り、特別区債の発行を最小限にし、将来世代への負担軽減を図ることが重要となります。したがいまして、建替えの手法等については、さらに検討を進めるとともに、総合庁舎整備基金については、今後、資金面の準備として、可能な限り基金を積み立てることとし、15億円の基金積み立てを平成22年度第3次補正予算案に計上し、提案させていただきました。

 今後のしかるべき時期の庁舎建設に備えていきたいと考えております。

 

 以上、「夢と誇りあるふるさと葛飾」の実現に向けた平成23年度当初予算案における主要事業の概要とその基本的な考え方、並びにその他の当面する課題について申し上げました。

 その他、本定例会にご提案を申し上げます案件につきましては、上程の折に主管者から詳細にわたりご説明をさせていただきますので、よろしくご決定を賜りますようお願い申し上げまして、平成23年第1回区議会定例会の開催に当たりましての私の所信表明とさせていただきます。