葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■安心で健やかに暮らすために(福祉と保健の取り組み) :区民の健康と衛生を支える

 保健所が東京都から特別区へ移管されると、保健所は区民の健康と衛生を支える中心的な役割を担うようになった。葛飾区では、救急医療体制の整備をはじめ、がんなどの生活習慣病の集団健診、妊婦・乳幼児に対する健診や指導、高齢者健診、節目ごとの歯科健診、エイズの検査・相談・啓発、精神障害者への支援、保健師による健康相談など、葛飾区医師会・葛飾区歯科医師会と連携して様々な事業を今日まで展開してきた。
 こうした中、昭和60(1985)年に葛飾区医師会と連携して、区民健康診断で撮った胸部エックス線写真を結核だけではなく、肺がんの発見にも利用する「葛飾方式」の検診を葛飾区独自の取り組みとして開始し、全国でもトップクラスの肺がんの早期発見率につながった。
 また、平成6(1994)年に「保健所法」が「地域保健法」注釈1に改正された。
 平成23(2011)年には、「健康プラザかつしか」を青戸に開設し、葛飾区保健所と青戸保健センターが同所へ移転した。あわせて、母子保健関係事業を強化するため、葛飾区子ども総合センターを同所に開設した。
 さらに、近年では、広域で専門的な対応が求められる再興感染症注釈2、輸入感染症注釈3や新型インフルエンザに対する取り組みを行っている。また、葛飾区民の食への関心の高まりを背景に、平成26(2014)年には区独自の取り組みとして、栄養バランスの良いメニューを提供する区内の飲食店を「かつしかの元気食堂」として認定するなど、区民の健康の維持・増進を図る事業を展開してきた。
 この他、自然災害に備えて、医療関係機関やその他機関と協働で災害時医療対策の充実を図るなど、新たな課題への取り組みも進めている。

保健所での成人健診の様子(平成24〔2012〕年)
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注釈1:平成6(1994)年に「保健所法」を改正し、保健所を地域保健の広域的・専門的・技術的拠点として機能を強化した。
注釈2:近年まで抑えられていた発症数が再び増加傾向にある感染症。結核などがある。
注釈3:旅行者や輸入食品を介して病原体が海外から持ち込まれ、国内で感染症を生じるもの。重症急性呼吸器症候群(SARS)、デング熱などがある。