葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第1節 戦後の葛飾

■安定成長時代の工業と商業 :暮らしの変化と商業

 葛飾区内の商業は、戦後の復興期には大半の小売店が食料品を販売しており、店先に商品を置けば売り切れてしまう時代だった。昭和30年代に入ると商品が豊富に出回り、衣料品や電化製品が普及し始め、生活用品の消費が高まり、商店数は増え続け、商店街は活気にあふれ、全体店舗数の8割を占める5人未満の小売業と卸売業を中心に発展していった。
 しかし、昭和30年代後半から葛飾区内にも大規模小売店(スーパーマーケット)が出店するなど、商店街を取り巻く環境に変化が生じ始めた。
 また、石油危機以後の不況と経済の安定成長のなか、個人所得は伸び悩み、節約ムード、買い控えやモノ離れなど、区民の生活防衛意識が定着した。
 さらに、新しい業態で長時間営業するコンビニエンスストアの登場、流通経路を簡素化した安売り専門店や幹線道路沿いへのファミリーレストランの出店など、地域住民の購買力に依存していた葛飾区内の小売店は、石油危機後の物価上昇による区民の意識や価値観の変化、ライフスタイルの多様化や社会情勢などの影響を受け、厳しい経営状況に置かれるようになっていった。

葛飾区の中小企業融資状況(昭和48〔1973〕〜平成5〔1993〕年度)
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