○葛飾区公文規程施行細目

昭和58年12月15日

58葛総総発第192号

目次

第1 総則的事項(第1条関係)

1 葛飾区公文規程の適用範囲

2 公文書作成に用いる用紙、公文の表記手段等

3 公文書に関する他の規程

第2 公文の種類(第2条関係)

第3 公文の文体、形式、用語等(第3条関係)

1 公文作成の基本方針

2 公文の文体、表現等

3 公文の形式

4 用語

5 用字

6 符号

7 文の項目を細別する場合の順序

第4 使用漢字の範囲等(第4条関係)

1 常用漢字表使用上の注意事項

2 常用漢字表の音訓及び送り仮名の付け方の使用上の注意事項

3 常用漢字表の字体の使用上の注意事項

第5 用語等の見直し

第6 公文規程施行に伴う経過措置

1 用語関係

2 形式関係

第1 総則的事項(第1条関係)

1 葛飾区公文規程の適用範囲

葛飾区公文規程(昭和58年葛飾区訓令甲第28号。以下「公文規程」という。)の適用範囲は、区長の補助執行部局において用いられている公文全てである。公文についての注意は、次のとおりである。

(1) 公文は、公文書の作成に用いる文の意義であり、全て日本語を用いて作成されるべきもので、公文規程は、この前提のもとに作成されていること。

(2) 公文中に引用する文(例えば条文)には、引用という事柄の性格上、公文規程に定める漢字、送り仮名、仮名遣いについての制限規定は、適用がないこと。

2 公文書作成に用いる用紙、公文の表記手段等

公文規程は、その性質上公文に関する事項以外の事項については、規定しなかったが、公文書(帳票類を除く。)作成に用いる用紙、表記手段等については、次に定めるとおりとする。

(1) 用紙

原則として、A4判の大きさの紙を縦長に用いる。

(2) 表記手段

原則として、黒若しくは青(場合により赤)のインクを用いてのペン若しくはボールペンによる手書き、パーソナルコンピュータによる印字、印刷又は複写とする。

摩擦に伴う温度変化等により消色するインクを用いたペン又はボールペンは、公文書の作成には用いない。

なお、文書保存の目的を全うするために不適当な表記手段は、特に支障がないと認められる特別の場合を除き、長期間利用保存される公文書の作成には用いないのが原則である。

(3) 文書のとじ方

文書は、左とじとする。ただし、縦書文書のみをとじるときは、右とじとする。

なお、縦書文書と横書文書とを1つにとじる場合の縦書文書は、左側に余白のあるものにあっては、左側をとじ、左側に余白のないものにあっては、裏返してとじることとする。

(4) 記載事項の訂正方法

ア 誤記の訂正

誤記の部分を2本の線で消し、横書きの場合はその上側、縦書きの場合はその右側に正しい記載をして、訂正印を押す。

イ 脱字の加入

横書きの場合は脱字の行の上側、縦書きの場合はその右側に記入し、くくり符号を使って抜け落ちた部分に加入して、訂正印を押す。

ウ 契約書や重要な対外文書などの訂正

ア又はイの方法で訂正し、左又は上の余白に「○字訂正」(訂正前と訂正後の文字数が同じ場合)、「○字削除」又は「○字加入」と書いて、そこに訂正印を押す。

なお、ア、イ、ウにおいて訂正印は、起案文書の場合には訂正した者の印、施行文書の場合にはその文書に使用した公印でなければならない。

エ 訂正方法の例外

改元時において、帳票に印字されている旧元号を訂正する場合など、大量の公文書の訂正を要する場合における記載事項の訂正の方法は、総務部総務課長(以下「総務課長」という。)が別に定める。

3 公文書に関する他の規程

公文書に関する規程の主たるものとしては、公文規程以外に次のものがある。公文書作成については、公文規程のほかこれらの規程に従うこと。

第2 公文の種類(第2条関係)

公文書は、その性質、使用目的等に応じて、公文規程第2条各号に掲げられた種類の公文のいずれかを用いて作成することとする。

なお、次の事項に注意すること。

(1) 公文の種類の分類基準としては、その公文を用いて作成される公文書の性質による場合等が考えられるが、公文規程においては、現在多く用いられている公文の形式を分類基準として公文の種類を定めているものであること。

(2) 公文の種類としては、辞令文、起案文等を独立の公文の種類として取り扱うことも考えられるが、これらについては、特に形式を定める実益に乏しいこと、特定の形式を定め得ないこと等により、公文規程においては、一括して「不定形文」として分類していること。

第3 公文の文体、形式、用語等(第3条関係)

1 公文作成の基本方針

(1) 平易な言葉、無理のない言い回しを用いる。

(2) 誤解を生じるおそれのない言葉、行き届いた言い回しを用いる。

(3) 簡潔な言い回しを用いる。

2 公文の文体、表現等

(1) 文体

公文の文体は、「ます」体を用いる。ただし、例規文、議案文、公布文、訓令文、契約文その他これらに準ずる文は、「である」体を用いる。

なお、起案文などの意思決定のために作成する文の文体は、原則として「である」体とするが、「ます」体を用いてもよい。

(2) 構成及び表現

ア 文語調の表現は、できるだけやめて、平易かつ簡明なものとする。

イ 文章は、できるだけ区切って短くし、接続詞や接続助詞等を用いて文章を長くすることを避ける。

ウ 文章の飾り、曖昧な言葉、回りくどい表現は、できるだけやめて、簡潔で論理的な文章とする。敬語についても、なるべく簡潔な表現とする。

エ 内容に応じて、できるだけ箇条書きの方法を取り入れ、一読して理解しやすい文章とする。

オ 文章には、濁点及び半濁点を必ず用いる。

(3) 文法

公文の文法は、義務教育課程において用いられる共通語(いわゆる標準語)についての文法に従う。

3 公文の形式

(1) 縦書き及び横書きの区分

公文は、左横書き左とじを原則とする。ただし、次に掲げるものは、縦書き右とじとする。

ア 法令等の規定により様式が縦書きに定められているもの

イ その他、やむを得ないもの

(2) 公文規程で定められた形式以外の形式を定める場合及び公文規程に形式の定めのない公文について新たに形式を定める場合の手続

その公文に係る事務執行を主管する課の課長が、総務課長と協議して定める。

(3) 宛先の表記

同一内容の文書を課長、室長及び事業所の長などの課長級の職に出す場合は、宛先の表記は、原則として「各課長」とする。

「各部長」の表記も、これに準ずる。

(4) 区名の表記

区名を記載する場合は、次の例のように公共団体、行政庁、機関、組織、職名などを表す場合は葛飾区とし、事務所、庁舎、所在地、場所などを表す場合は葛飾区役所とする。ただし、区民にとって分かりにくいと思われる場合は、葛飾区役所としてもよい。

(例) 葛飾区後援 葛飾区総務部 葛飾区副区長

(例) 葛飾区役所5階の総務課 葛飾区役所玄関

(5) 教示及び事務担当者氏名の表記位置

ア 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条の規定に基づく行政庁等の教示及び行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条の規定に基づく取消訴訟等の提起に関する事項の教示に関する文を記載する場合は、主たる公文の末尾に主たる公文から少し離して、主たる公文の形式に準じて書く(場合によって、裏面、別紙等に記載してもよい。)

イ 公文書に事務担当者の氏名等を記載する場合は、主たる公文の末尾に主たる公文から少し離して右側に書く。

なお、アの記載がある場合は、アに記載した文の次に記載するものとする。

(6) 配字位置等

ア 一般原則

(ア) 文の最初の行及び新たに起こした行の初めの1字分は空白とする。ただし、表彰文及び証明文の一部(証書に係るもの)については、空白としない。

(イ) 句読点を用いない文については、句読点を使うべき箇所を1字分空白とする。

(ウ) 文の項目を細別する記号の次には、読点又はピリオドを打たず、1字分空白とする。

(エ) 「なお」「おって」「また」等を使って完結した前の文に対する独立した形の補足説明等をする文を続けるときは、行を改める。

(オ) 「ただし」「この」「その」等を使って文を続けるときは、行を改めず、前の文に続ける。

イ その他

句点については、1字分のスペースを配するのが原則であるが、完結する文の最終字が行の最後の位置を占めるときの句点は、次の行の最初の位置に配することをせず、当該完結する文の最終字に係る行の末尾に配するようにする。読点の配置についても、句点の場合に準ずる。

4 用語

(1) 用語についての基本的留意事項

ア 特殊な言葉を用いたり、堅苦しい言葉を用いることをやめて、日常一般に使われている易しい言葉を用いる。

(例) 救援する→救う 懇願する→お願いする

一環として→一つとして 即応した→かなった

イ 使い方の古い言葉を使わず、日常使い慣れている言葉を用いる。

(例) 彩紋(さいもん)→模様・色模様

ウ 言いにくい言葉を使わず、口調の良い言葉を用いる。

(例) 遵守(じゅんしゅ)する→守る

逡<×>巡(しゅんじゅん)する→ためらう

(×印は、常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)にない漢字であることを示す。以下同じ。)

エ 音読する言葉はなるべく避け、耳で聞いて意味のすぐ分かる言葉を用いる。

(例) 橋梁<×>(きょうりょう)→橋

充填(じゅうてん)する→埋める・詰める

塵<×>埃<×>(じんかい)→ほこり

陳述する→述べる

眼蓋(がんがい)→まぶた

堅持する→堅く守る

オ 音読する言葉で、意味の2様にとれるものは、なるべく避ける。(( )内は、紛れるおそれがある言葉である。)

(例) 協調する(強調する)→歩調を合わせる

勧渉する(干渉する)→勧める

衷心(ちゅうしん)から(中心から)→心から

潜行する(先行する)→潜む

出航(出講)→出帆・出発

カ 「常用漢字表」にない漢字を用いて初めて意味の分かる言葉を仮名で置き換えることはなるべく避けて、別の同意義の言葉を用いる。

(例) 欺罔<×>→だます(「ぎもう」と書かない。)

キ 公文全体を通じて統一ある表現となるような難易・正俗のむらのない用語を用いる。

ク 不快、差別感を与えるおそれのある用語については、他の適当な用語に置き換えて用いる。

ケ 漢語をいくつもつないでできている長い言葉で、一般的に通用している略語があるときは、それによることができる。

(例) 中央労働委員会→中労委

日本赤十字社→日赤

(2) 特定の用語使用についての留意事項

ア 本来は、文語体の用語であるが、公文に使用して支障のない用語

(ア) 「あり」「なし」「同じ」

簡単な注記や表の中などでは用いてよい。

(例) 配偶者の有無―あり

障害発生の見込み―なし

現住所―本籍地に同じ

(イ) 「たる」

「たる」の形のみを用い、「たり」「たれ」等の形は、どんな場合にも用いない。

(例) 葛飾区の代表者たる区長

調査権の発動たる説明要求

(ウ) 「べき」

「べき」の形のみを用い、「べし」「べく」等の形は、どんな場合にも用いない。

(例) 提出すべき報告書

生きるべき道

論ずべき問題

イ 使用方法の紛らわしい助詞

(ア) 「と」

並列を表す意味に用いるときは、なるべく最終の語句の後にも付ける。

(例) 東京と大阪との間

赤と青と黒とを用いる。

(イ) 「から」

時及び所について起点を示すときは、この語を用い、「より」は用いない。

なお、「より」は、前項の準拠又は手段を表す場合に用いる。

(ウ) 「の」

主語を示す場合に用いてよい。

(例) 条例の定めるところによる。

用法の一定しない場合

(エ) 「ば」

「ならば」の「ば」は、略さない。

(例) 文書が到達したならば、直ちに回覧する。

(オ) 「な」

「な」の形のみを用い、「なる」の形は用いない。

ただし、「いかなる」は用いてよい。

(例) 必要な書類

平等な取扱い

ウ 使用方法の紛らわしい助動詞

(ア) 「う」「よう」

「う」「よう」は、意思を表す場合にのみ用いる。ただし、「であろう(でありましょう、でしょう)」と用いる場合は、推量を表す意味で用いてよい。

(例) 回答するであろう(推量)

回答しよう(意思。推量には用いない。)

(イ) 「ます」

「ます」の形のみを用い、「まする」「ますれば」「ませ(まし)」の形を用いない。

(例) ありますが

ありますけれど

(ウ) 「ぬ」

「ん」「ず」の形のみを用い、「ぬ」「ね」の形は、用いない。

(例) 知りません

知らずに犯した罪

(エ) 「まい」

打消しの推量を表す場合にも意思を表す場合にも用いない。

(オ) 「だ」

「だ」「だろう」「だった」の形は、用いないで、「である」「であろう」「であった」の形を用いる。

(3) 法令用語の表現方法と留意事項

法令用語については、次の事項に留意して用いる。

ア 主語の表現方法

主語は、原則として「は」で表す。ただし、条件文章又は主文章の主語であっても条件文章が前置きされて条件文章との意味のつながりを明示する必要があるときは、「が」で表す。

(例) 委員長に事故があるときは、副委員長が職務を代行する。

イ 述語の表現方法

述語は、通常の説明文に用いる用語の中からその法令等の条項に最も適合したものを選び出し、解釈に紛れを生じないようにしなければならない。

(ア) 「するものとする」「しなければならない」

「しなければならない」がある一定の義務付けを意味するのに対して、「するものとする」は、義務付けの意味に用いる場合と、一種の含みを持たせて原則や方針を示す気持ちの強い場合とに用いる。

(例) …に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする。

(イ) 「とする」「である」

「とする」は、創設的、拘束的意味を表し、「である」は、単なる事実の説明に用いる。

(例) 地方公共団体は、法人とする。

(ウ) 「例による」「例とする」「従前の例による」「なお効力を有する」「例による」は、他の一定の手続又は事項を包括的に当該の場合に当てはめようとするときに用いる。準用とほぼ同じ意味であるが、準用よりも更に広い意味に用いられる。「例とする」は、通常そのようにすべきであるという意味で、合理的理由があれば例外が認められる意味に用いる。

「従前の例による」「なお効力を有する」は、条例、規則などの全部又は一部改廃のときの経過規定として用いる。前者は、従前の条例、規則等の形式は改廃後でもその実態が、新しい条例、規則等にとり入れられて存続するという意味であり、後者は、条例、規則等が改廃されても、当該規定のみはなお効力を有しており、その部分を改正することも可能な場合に用いる。

(例) 国税滞納処分の例による。

この法律施行前の行為については、なお従前の例による。

(エ) 「この限りでない」

ただし書の規定で、本文に対して除外例を示すときに用いる。

「…してはならない。ただし、…の場合は、この限りでない。」というのがこの例で、これこれの場合には本文の禁止規定を適用しないという意味である。

(オ) 「改正する」「改める」

「改正する」は、条例、規則等の改正全体を捉えている場合に用いる。「改める」は、条例、規則等の改正中、各部分についていう場合に用いる。

(カ) 「推定する」「みなす」

「推定する」は、反対の証拠が挙がらない限り、ある事実について、一応かくあるであろうと判断する場合に用いる。

「みなす」は、本来異なる他の事実を、法令自体が両者同一のものと認定して、そのある事実について生じる法律上の効果を、他の事実についても生じさせる場合に用いる。「みなす」は、反証を許さない。

(例) …と認めた者は、その住所がその市町村の区域内にあるものと推定する。この場合において、掲示を始めた日から起算して7日を経過したときは、書類の送達があったものとみなす。

(キ) 「準用する」「適用する」

「準用する」は、ある事項に関する規定を、それが本質的に異なる事項について当然必要な修正を加えて当てはめる場合に用いる。「適用する」は、本質が同じ事項について読替えその他修正を必要としないで当てはめる場合に用いる。

(ク) 「科する」「課する」

「科する」は、刑罰、民事罰(過料)又は団体規律的罰をある人にかけることを表す場合に用いる。「課する」は、国又は地方公共団体その他公的団体が、国民又は住民その他の団体の構成員に対し、公務をもって租税その他の金銭、夫役又は現品を賦課、徴収する場合に用いる。

ウ 接続詞の用法

(ア) 「又は」「若しくは」「あるいは」

選択的に並列された語句が2個のときは、「又は」で結び、2個以上のときは、始めの語句は読点でつなぎ、最後の語句を「又は」で結ぶ。選択される語句に段階があるときは、大きい選択的連結には「又は」を用い、小さい選択的連結には「若しくは」を用いる。段階が3つ以上であるときは、「若しくは」を重複して用い、「又は」は、一番大きい連結にだけ1回用いる。

「あるいは」は、原則として用いない。

(例) …を救助し、援護し、若しくは看護し、又は更生させること。

(イ) 「及び」「並びに」「かつ」

併合的に並べた語句が2個のときは、常に「及び」を用い、3個以上のときは、始めの語句は、読点でつなぎ、最後の語句を「及び」で結ぶ。並べる語句に段階がある複雑な文章では、大きな意味の併合的連結には「並びに」を用い、小さな意味の併合的連結には「及び」を用いる。段階が3つ以上であるときは、「並びに」を重複して用いる。

「かつ」は、連結される語句が、互いに密接不可分であり、両語句を一体として意味が完全に表されるような場合に用いる。

(例) 財産の取得、管理及び処分並びに営造物の設置及び管理を指示し、かつ、立案その他の必要な措置を行う。

(ウ) 「又は」「及び」

「又は」と「及び」との両方の意味を与えようとする場合には、「又は」を用いる。甲も乙も、丙のことをしてはならない、という場合で、甲と乙とを抽象的かつ包括的にとらえようとする場合には、「甲及び乙は、丙のことをしてはならない。」というように用いる。甲も乙も、丙あるいは丁のことをしてはならない、という場合には、「甲及び乙は、丙又は丁のことをしてはならない。」というように用いる。

(エ) 「その他」「その他の」

「その他」は、「その他」の前にある言葉と後にある言葉が、全部対一部例示の関係にあるのではなくて、並列関係にあるような場合に用いる。「その他の」は、「その他の」の前に出てくる言葉は、後に出てくる一層意味内容の広い言葉の例示であるような場合に用いる。

(例) 俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮し…

賃金、労働時間その他の労働条件

(オ) 「ただし」「この場合において」

両者とも、主文章との意味の関連を断たないため、主文章の後に行を改めないで続けて用いるものである。「ただし」は、主文章の意味の除外又は例外の意味での付加的条件若しくは解釈上の注意規定を示すような場合に用いる。内容が除外的意味を持たない単なる注意規定又は説明的規定である場合は、ただし書を用いない。「この場合において」は、主文章の趣旨を補足的に説明し、又はこれと密接な関係を持つ内容の事項を続けて規定する場合に用いる。後段として同一項中に付記するには文章が長すぎるような場合には、行を改めて、「前項の場合において」と別項にするのがよい。

(例) …は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、区長が特に必要があると認めたときは、この限りでない。

 …委員会は、…のとき決定しなければならない。この場合においては、審問を経ないことができる。

エ 特殊な用語の用法

(ア) 「者」「物」「もの」

「者」は、法律上の人格を有する者であれば、自然人、法人、単数、複数の区別なく、全てこれを用いる。人格のない有体物で、現実に権利義務の客体となるものは、全て「物」を用いる。「もの」は、「者」「物」で表せない抽象的なものを表現する場合、自然人、法人のほかに人格のない社団、財団等が含まれている場合又はこれらの人格のないものだけである場合及び「者」「物」について更にある種の限定をする場合に用いる。

(例) 許可を受けようとする者

自己の占有する他人の物

公益に関する社団又は財団にして営利を目的とせざるもの

日本国民たる年齢満20年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するもの

(イ) 「時」「とき」「場合」

「時」は、ある時点を瞬間的に捉えて表現するときに用い、時点又は時間が問題となる場合に限る。「とき」は、必ずしも、ある時点というような限定した意味ではなく、広く「場合」と同じような意味で、仮定的条件を示す場合に用いる。「場合」は、仮定的条件又は既に規定された事例を引用する包括的条件を示す言葉として用いる。「とき」と「場合」とを同時に用いて条件を表すときは、大きい前提条件を「場合」とし、小さい前提条件を「とき」で表す。

(例) 実行の時に適法であった行為

境界を変更しようとするとき。

災害が発生した場合における応急対策

訴訟を提起した者が勝訴した場合において、弁護士に報酬を支払うべきとき。

(ウ) 「所」「ところ」

「所」は、一定の場所を示すときに用いる。「ところ」は、その「ところ」という語句が受ける規定の内容全体を、包括的に代表する代名詞の用をなすものである。更に、将来規定されるであろう他の法令の内容をも予定する意味にも用いる。

(例) 補助金等に関しては、他に特別の定めのあるものを除くほか、この規則の定めるところによる。

(エ) 「以上」「以下」「以前」「以後」「以降」「以内」「以外」「未満」「超える」「満たない」

数量的又は時間的比較をする場合に「以」をもって表示された数位は、それぞれの基本点となり含まれる。「100円以上(以下)」というときは、100円という数位が含まれる。「以前」「以後」「以降」もこの例に準ずる。ただし、「以後」と「以降」との意義は、全く同一であるので、原則として「以後」を用いる。

「以内」は、期間、広さその他の数量の一定限度を表す。

「以外」は、ある包括的な対象のうち、その字句のすぐ上に掲げられたものを除いて、残りのものを表す。

「未満」「満たない」「超える」は、ともに数量的又は時間的限度を表し、ともに基本的数量が含まれない。

(オ) 「何日前」「前何日」

「何日前」は、基準となる日を含まないが、「前何日」は、基準となる日が含まれる。

(カ) 「規程」「規定」

「規程」は、一法規を総称する場合に用い、「規定」は、一法規の個々の条項を示すときに用いる。

(キ) 「期限」「期間」「期日」

「期限」は、始期以後又は終期以前における不定の時間的広がりを示し、「期間」は、始期と終期との間の一定の時間的長さを示し、「期日」は、特定の具体的な日を意味する。

(ク) 「削る」「削除」

条例等の一部を改正する場合に、改められる部分の規定を跡形もなく消すときには、「削る」を用いる。これに反して、改められる規定の内容のみを消して、その条名又は号番号を残す場合には、「第3条 削除」「(3) 削除」というように「削除」を用いる。

(ケ) 「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」

「直ちに」は、一切の遅延を許さない近接性を示し、「速やかに」は、「直ちに」より急迫の程度が低い場合において、訓示的意味をもつ。「遅滞なく」は、正当な又は合理的な理由により遅延が許容される場合に用いる。

(例)…と認めるときは、直ちに、閣議の決定を経て、その旨を告示するものとする。

審査庁は、裁決をしたときは、速やかに、…提出された書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。

…の決定があったときは、遅滞なく、全国計画の要旨を公表しなければならない。

(コ) 「前」「次」

法文において、直前の条、項等を引用する場合は、「第2条」とか「第2項」とかその条名、項番号等を引用しないで、「前条」「前項」等と表すのが慣例である。この「前」に対応して、すぐ後に続く条名、項名等は、「次条」「次項」等として引用する。

(サ) 「……から……まで」

連続した章、条、項、号等を、その連続した形において引用する場合に用いる。「乃至(ないし)」は用いない。

(4) 用語の改善についての留意事項

法令における漢字使用等について(平成22年11月30日内閣法制局総総第208号)の定めるところに従い、分かりやすい用語を使用するように留意する。

(5) 片仮名語の使用についての留意事項

ア 日本語に適当な訳語があるもの又は日本語に置き換えても十分意味が通じるものは、日本語で書く。

イ 日本語に適当な訳語がないもの又は言い換えができにくいもので、やむを得ず使用するときは、説明を加える等の配慮をする。

5 用字

(1) 漢字

第4の1、2及び3の項による。

(2) 仮名

外来語又は外国(漢字が国語の表記に用いられる国を除く。)の地名、人名は、片仮名で書く。ただし、「かるた」「たばこ」等のような外来語の意識が薄くなっているものについては、平仮名で書いてもよい。

(3) 数字

ア 横書きの場合

原則としてアラビア数字を使用する。ただし、次の場合には、漢数字を用いる。

(ア) 固有名詞を表す場合

(例) 立石五丁目 第一土木出張所

(イ) 概数を表す場合

(例) 数十日 四、五人

(ウ) 数量的意味の薄い語を表す場合

(例) 一般 一部分 三月(みつき) 四分五裂 第1四半期

(エ) 桁の大きい数を表す場合

(例) 1,900億 120万

(オ) 慣習的な言葉を表す場合

(例) 一休み 二言目 四つ 五つ

イ 縦書きの場合

(ア) 一、二、三、十、百(特に必要がある場合には、壱、弐、参、拾)等の漢数字を用いる。

(イ) 数字は、規程の番号、年月日、条名、号名又は条中のものは、「画像」「画像」「画像」等として用いる。この場合「画像」「画像」等の用法は、用いない。

(ウ) 日付、番号等を表す場合又は表中の計数を表す場合等には、「画像」「画像」「画像」等として用い、十、百、千、万等を省略することができる。

なお、千台で単位を区分する必要がある場合には、3桁区切りによって「、」を付ける。

(エ) 数字で期間を表す場合で、暦の年月日と読み間違えるおそれのあるときは、「箇」「か」「カ」を用いる。

(例) 画像

ウ 数字表記上の留意点

(ア) 章、節、項等を表す序数には、複数を表す場合との誤りを防ぐため、「第」を付けて表す。また、条文形式をとる公文中で条文の項を表す場合には、アラビア数字を用いる。

(イ) 千台で単位を区分する必要がある場合には、3桁区切りによって「,」(縦書きの場合にあっては「、」)を付ける。

(ウ) 分数を文書の中に書く場合には、「5分の1」、「五分の一」というように国語読みのまま記載する。

(エ) 首標の金額は、次のように表す。

(横書きの場合) ¥1,239,000―

(縦書きの場合) 画像

(4) 外国文字

公文には、原則として外国文字を用いない。ただし、次のような場合には、例外的に外国文字を用いる。

ア 外国人をも対象とする申請書等の様式を定める場合で、その様式に用いられた日本語の補足説明の用語として外国語を用いるとき。

イ 工事関係の起案文、設計図表等で計量の単位を簡略に表す必要がある場合に、その計量の単位の記号として計量単位規則(平成4年通商産業省令第80号)の定める計量単位についての略語を用いるとき。

ウ 工事関係の設計図面等の説明文中に通常工事関係者間で用いられている外国文字で表す記号を用いるとき。

エ 文の項目を細別する場合で、特に必要があるとき(7の(2)のア参照)

6 符号

(1) 通常用いる符号

公文に用いる符号は、次のとおりとする。

ア 「。」(まる)

文の句点(くてん)として、次のように用いる。

(ア) 文章を完全に言い切ったところには必ず句点を用いる。ただし、辞令、賞状、証書等には用いない。

(イ) 丸括弧やかぎ括弧の中でも、文の切れ目には必ず用いる。

(例) 葛飾区長(以下「区長」という。)

(ウ) 名詞止めで事物を表す場合には、原則として用いない。

(例) 事件の確定した日

ただし、次の場合には用いる。

a 「こと」「とき」等補助的に使われる名詞で文を止める場合

(例) 小切手を保管すること。

b その文章の後に更にただし書等の文章が続く場合

(例) 禁錮以上の刑に処せられた者。ただし、その執行を終えた者を除く。

(エ) 次のような場合には、句点を用いない。

題目や標語を掲げる場合

(例) 公文書の作成について(通知)

手を上げて横断歩道を渡ろう

イ 「、」(点)

文の読点(とうてん)として、次のように用いる。

(ア) 主語の下には、必ず読点を用いる。ただし、副詞句、形容詞句その他の条件句又は条件文章の中に出てくる主語の下には用いないのがむしろ普通である。

(例) この条例は、公布の日から施行する。

(イ) 対等に並列する語句の間に用いる。

(例) 航空機、電車、自動車等の交通機関

目で見、耳で聞き、手で触れて確かめる。

(ウ) 叙述の語句を「及び」「又は」等で並列する場合に用いる。

(例) 管理とは、財産の取得、保管及び処分をいう。

管理とは、財産を取得し、保管し、及び処分することをいう。

(エ) 限定、条件等を表す語句の後に用いる。

(例) 葛飾区に住所を有する者で、60歳以上のもの

特に必要があるときは、この限りでない。

(オ) 文の初めに置く接続詞又は副詞の後に用いる。

(例) なお、この件については、…

(注) 文の初めに置く接続詞又は副詞には次のようなものがある。

おって かつ したがって ただし ついては ところが ところで また ゆえに そして さて すなわち なお もし 例えば

(カ) 縦書文で、億、万、千、百等の数詞を用いずに数を表す場合の数の桁を示す符号としても用いる。

(例)画像

(キ) 次のような場合には読点を用いない。

a 叙述が簡単なとき。

(例) 山は高い。海は深い。

b 対句の中などで用いない方が文の構造がはっきりする場合

(例) 彼は、身長は180センチメートル、体重は80キログラム、胸囲は120センチメートルある。

c 「及び」「又は」等の接続詞又は「と」「や」「か」等の助詞を用いて事物の名称を並列する場合

(例) 都道府県及び市町村 父母、兄弟又は姉妹 部長と課長と係長 電車や自動車

ウ 「・」(なか点)

(ア) 事物の名称等を列挙する場合であって、かつ、それぞれが相互に密接不可分で、「、」又は「,」(横書文の読点として用いたときに限る。)を用いることが不適当な場合には、それぞれの名称の間に用いる。

(例) 委員長・委員、部長・課長及び係長

かつお・まぐろ漁業

(イ) 2語以上からなる外来語、外国の人名を表す場合等に、語の切れ目を示すために用いる。

(例) ファイリング・システム アダム・スミス

(ウ) 縦書文で億、万、千、百等の数詞を用いずに数を表す場合の小数点を示す符号として用いる。

(例) 画像

エ 「,」(コンマ)

(ア) 横書文の読点として用いる(用い方は、縦書文に同じ。)

(イ) アラビア数字の桁を示す場合に用いる。

(例) 1,235,000円

オ 「「」」(かぎ括弧)

特に示す必要がある事物の名又は語句を明示する場合に用いる。

カ 「()(丸括弧)

注記する場合に用いる。

キ 「.」(ピリオド)

アラビア数字の小数点を示す場合に用いる。

(例) 220.31メートル

ク 「々」(繰り返し符号)

漢字1字の繰り返しの場合に用いる。

(例) 人々 国々 日々 年々

ただし、同じ漢字が続く場合においても、最初の漢字とその次の漢字とがそれぞれ異なった意味で使用される場合には、用いない。

(例) 民主主義 漢字字体表

(2) 通常用いない符号

次に例示するような符号は、これらを用いることにより、より良く公文の内容が理解できると認められる場合等特に必要がある場合に限って用いる。

ア 「『 』」(二重かぎ括弧)

イ 「〔 〕」(角形括弧)

ウ 「{}」(くくり形括弧)

エ 「―」(ダッシュ)

オ 「~」(波型)

カ 「‐」(ハイフン)

キ 「→」(矢印)

ク 「{」「〔」(くくり)

ケ 「ゝ」「ゞ」「画像」「〃」(繰り返し符号)

コ 「――」(傍線、アンダーライン)

サ 「…」(傍点)

シ 「?」(疑問符)

ス 「!」(感嘆符)

7 文の項目を細別する場合の順序

(1) 細別順序の原則

ア 横書きの場合は、次の順序による。

第1 1 (1) ア (ア)

イ 縦書きの場合は、次の順序による。

第一、一、(一)、ア、(ア)

(2) 細別順序の例外

ア 細別が多段階にわたる場合は、(1)のほかアルファベット、ローマ数字、丸数字を用いてもよい。

イ 細別が少段階である場合には、必ずしも「第1」から始める必要はない。

第4 使用漢字の範囲等(第4条関係)

1 常用漢字表使用上の注意事項

(1) 「常用漢字表」にある漢字で書き表せない言葉は、仮名書きにするか、又は別の言葉に換える。この場合の書換え又は言換えの標準は、次のとおりとする。

ア 仮名書きにする。

(例) 佃<×>煮→つくだ煮

艀<×>→はしけ

(ア) 仮名書きにする場合の基準1

漢語でも、漢字を用いずに意味のとおる使い慣れたものは、そのまま仮名書きにする。

(例) あっせん れんが わいせつ

(イ) 仮名書きにする場合の基準2

他によい言換えがなく、又は言換えをしては不都合なものは、「常用漢字表」にない漢字だけを仮名書きにする。

(例) 口腔<×>→口くう 澱<×>粉→でん粉

イ 「常用漢字表」中の音が同じで、意味の似た漢字で書き換える。

(例) 車輌<×>→車両 煽<×>動→扇動 碇<×>泊→停泊 編輯<×>→編集 抛<×>棄→放棄 傭<×>人→用人 聯<×>合→連合

ウ 同じ意味の漢語で言い換える。

(ア) 意味の似ている 用い慣れた言葉を使う。

(例) 印顆<×>(いんか)→印形 改悛<×>(かいしゅん)→改心 開披<×>(かいひ)→開封

(イ) 新しい言葉を工夫して使う。

(例) 剪<×>除(せんじょ)→切除 溢<×>水(いっすい)→出水

エ 漢字を易しい言葉で言い換える。

(例) 庇<×>護(ひご)する→かばう

(2) 「常用漢字表」にない漢字を用いた専門用語等であって、他に言い換える言葉がなく、しかも仮名で書くと理解することができないと認められるものについては、「常用漢字表」にない漢字をそのまま用いる。この場合漢字には振り仮名を付ける。

(例) 

2 常用漢字表の音訓及び送り仮名の付け方の使用上の注意事項

(1) 「常用漢字表」の音訓及び送り仮名の付け方については、公用文における漢字使用等について(平成22年内閣訓令第1号)及び法令における漢字使用等についての定めるところに従い、使用する。

(2) 「常用漢字表」の範囲内の音訓によっては、漢字で書き表せない言葉は、1の(1)に定める標準に準じて書換え又は言換えをする。

(例) 称える→たたえる 質す→質問する

3 常用漢字表の字体の使用上の注意事項

「常用漢字表」の字体の使用については、「常用漢字表」に定める「字体についての解説」に従うこと。

第5 用語等の見直し

公文書の作成については、第1から第4までに定めるとおりであるが、区民にとって親しみやすく、分かりやすい公文書とするためには、難しい専門用語やいわゆる「役所用語」が用いられていないかを区民の立場に立って、常に見直す必要がある。

また、区民が提出する申請書等の作成には特に注意をし、例えば「寄附願」等のような不適切な件名や不必要と思われる項目がないようにする。

第6 公文規程施行に伴う経過措置

1 用語関係

既存の条例、規則、訓令等の規程の一部改正を行った場合において公文規程の新しい方式に従ってみたときに、改正された部分の用語と改正されない部分の用語とがその書き表し方において異なることがある。具体的に述べると、ある規程の中で同一の用語が改正された部分で「取消し」と改められたが、それ以外の部分で「取消」となっているような場合である。この場合には、その不統一は差し支えないものとされている。すなわち、改められる部分の改正の範囲において公文規程上の新しい方式に従った形で用語の改正が行われ、他の改められない部分についての用語のみをその条・項・号の内容の改正がないときにまで改めないのが原則だからである。

なお、規程の一部改正に際し、上述のような書き表し方の差が生ずることを避ける特別の必要がある場合には、新しい方式により統一することができる。

2 形式関係

形式についても、1に準じて取り扱うものとする。

この細目は、昭和59年1月1日から施行する。

葛飾区公文規程施行細目

昭和58年12月15日 葛総総発第192号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第3編 行政一般/第5章 文書・公印
沿革情報
昭和58年12月15日 葛総総発第192号
平成2年10月23日 葛総総発第195号
平成6年4月1日 葛総総発第704号
平成31年3月26日 葛総総第1350号