葛飾区感染症週報(令和2年6月29日~令和2年7月5日)
区内感染症の流行状況(令和2年第27週)をお知らせします。
◆区内感染症の動向
☆区内医療機関から麻しんの報告は0件でした。
☆区内医療機関から風しんの報告は0件でした。
☆感染性胃腸炎:2.70人/1医療機関/週の患者報告、前週(3.07人)からわずかに増加
☆先週、八潮市で病原大腸菌による集団食中毒が発生情報がありました。
☆現在葛飾区での発生報告は入っておりませんが、下痢、血便等での来院時は、病原性大腸菌感染症等をご考慮ください。
今週注目したい感染症(1)<腸管出血性大腸菌感染症>
☆O-157をはじめとする、ベロ毒素を産生する大腸菌による感染症です。
☆潜伏期間は2~5日が最も多いですが、1週間以上のこともあります。夏季に多い傾向があります。
☆感染経路は加熱不十分な牛肉からの感染が多いですが、その他にも飲料水、生牛乳、野菜、保菌者からの感染など種々の感染経路が報告されています。乳幼児、高齢者は少量の菌で感染するので注意が必要です。
☆主な症状は、腹痛をともなう頻回水様便の後に、血便となります。発熱は軽度で、多くは37 ℃台です。血便の初期には血液の混入は少量であることが多いですが、次第に増加し、典型例では便成分の少ない血液そのものという状態になります。
☆有症者の6 ~7%において、下痢などの初発症状発現の数日から2 週間以内に、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)を、または脳症などの重症な合併症が発症します。
☆治療は水分摂取を励行した上で、基本的には対症療法です。その上で、HUSなどの全身症状をおこす合併症の発症を注意深く見守る必要があります。腸管出血性大腸菌感染症に対しての抗菌薬使用は、HUS発生を増加させるという報告があり、抗菌薬の推奨は統一されていません。いずれにしても医師による診断治療が必要です。
☆予防対策としては、汚染食品からの感染が主体であることに留意して、食品を十分加熱したすることが大切です。
☆ヒトからヒトへの二次感染に対しては、糞口感染であることから、手洗いの徹底等により予防することが可能です。
☆飲食物の製造、販売、調整または取扱いの際に、飲食物に直接接触する業務に携わる方の場合、就業制限がかかります。
☆学校の出席停止期間については、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めるまで、と定められています。
厚生労働省「腸管出血性大腸菌 Q&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html
国立感染症研究所「腸管出血性大腸菌とは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/439-ehec-intro.html
今週注目したい感染症(2)<感染性胃腸炎>
☆感染性胃腸炎とは、主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称です。
☆原因となるウイルスには「ノロウイルス」「サポウイルス」「ロタウイルス」「アデノウイルス」などがあります。
☆「ロタウイルス」「アデノウイルス」による胃腸炎は乳幼児に多くみられます。
☆主な症状は腹痛、下痢、おう吐、発熱です。
☆「ノロウイルス」は秋~冬季に、「ロタウイルス」は、2月~5月に、「アデノウイルス」は年間を通じて発症がみられます。
☆特別な治療法はなく、つらい症状を軽減するため治療(対症療法)が行われます。
☆予防はこまめな手洗いです。特に排便後、調理や食事の前には、その都度、石鹸と流水で十分に手を洗いましょう。
☆おう吐物やふん便を処理する時は、使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、次亜塩素酸ナトリウムを使用しましょう。処理した後は石鹸と流水で十分に手を洗いましょう。
(施設では処理用品のセットを予め準備しておきましょう)
☆ノロウイルスはカキなどの二枚貝に潜んでいることがあります。調理する際は、中心部まで十分に加熱しましょう(中心温度85~90℃で少なくとも90秒間の加熱が必要です)。
厚生労働省「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/norovirus/
東京都感染症情報センター「感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に)」
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/gastro/
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保健予防課感染症対策担当係
〒125-0062 葛飾区青戸4-15-14 健康プラザかつしか内
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