○葛飾区公文書等管理条例
令和7年3月27日
条例第3号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 公文書の管理(第4条―第11条)
第3章 特定歴史的公文書の保存等(第12条―第14条)
第4章 葛飾区公文書等管理委員会(第15条―第18条)
第5章 雑則(第19条―第23条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、葛飾区(以下「区」という。)の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える区民共有の知的資源として、区民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、公文書等の管理に関する基本的事項を定めることにより、公文書の適正な管理、歴史的公文書の適切な保存及び利用等を図り、もって区政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、区政に関する区民の知る権利を保障し、区の諸活動について現在及び将来の区民に説明する責務を全うすることを目的とする。
(1) 実施機関 葛飾区長(以下「区長」という。)、葛飾区教育委員会、葛飾区選挙管理委員会、葛飾区監査委員、葛飾区農業委員会及び葛飾区議会をいう。
(2) 公文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
イ 特定歴史的公文書
ウ 葛飾区立図書館、葛飾区郷土と天文の博物館その他の施設において、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの
(3) 歴史的公文書 将来にわたって区の活動又は歴史を検証する上で重要な資料となる公文書をいう。
(5) 公文書等 次に掲げるものをいう。
ア 公文書
イ 特定歴史的公文書
(他の法令との関係)
第3条 公文書等の管理については、法律若しくはこれに基づく命令又は他の条例(以下「法令等」という。)に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
第2章 公文書の管理
(公文書の作成)
第4条 実施機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該実施機関における経緯を含めた意思決定に至る過程並びに当該実施機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、公文書を作成しなければならない。
(公文書の整理)
第5条 実施機関の職員が公文書を作成し、又は取得したときは、当該実施機関は、当該公文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間が満了する日を設定しなければならない。
2 実施機関は、能率的な事務又は事業の処理及び公文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認められる場合を除き、適時に、相互に密接な関連を有する公文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を1の集合物(以下「公文書ファイル」という。)にまとめなければならない。
3 前項の場合において、実施機関は、当該公文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
6 区長以外の実施機関は、公文書ファイル等について、保存期間の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、第9条第4項に規定する選別基準にのっとり、歴史的公文書に該当するものにあっては区長への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない。
(保存)
第6条 実施機関は、公文書ファイル等について、当該公文書ファイル等の保存期間が満了するまでの間、その内容、時の経過、利用状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
2 前項の場合において、実施機関は、当該公文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならない。
3 実施機関は、公文書ファイル等を保存するときは、当該公文書ファイル等の改ざん、盗難、消失及び漏えいを防止するため、必要な措置を講じなければならない。
(公文書ファイル等管理簿)
第7条 実施機関は、公文書ファイル等の管理を適正に行うため、公文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置、保存場所その他の必要な事項(葛飾区情報公開条例(平成4年葛飾区条例第30号。以下「情報公開条例」という。)第9条に規定する非公開情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「公文書ファイル等管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、1年未満の保存期間が設定された公文書ファイル等については、この限りでない。
2 実施機関は、公文書ファイル等管理簿について、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
3 区長は、前項の規定による公表に資するため、他の実施機関からの依頼を受けて、当該実施機関の公文書ファイル等管理簿を公表することができる。
(保存期間が満了した公文書ファイル等の取扱い)
第8条 区長は、保存期間が満了した公文書ファイル等について、歴史的公文書に該当するものを特定歴史的公文書として引き続き保存しなければならない。
2 区長以外の実施機関は、保存期間が満了した公文書ファイル等について、歴史的公文書に該当するものを区長に移管しなければならない。
3 区長は、第1項の規定により引き続き保存する公文書ファイル等について、次に掲げる情報が含まれているものとして公開の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の記録をしなければならない。
(1) 法令の規定により公開することができないとされている情報
(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人が識別され得るもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、なお個人の権利利益を害するおそれのあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令の規定により又は慣行として公開され、又は公開することが予定されている情報
イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報
ウ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職、氏名及び当該職務遂行の内容に係る部分
(3) 法人(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報で、次に掲げるもの。ただし、人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報を除く。
ア 公開することにより当該法人等又は当該事業を営む個人に明らかに不利益を与えると認められる情報
イ 区長の要請を受けて、公開しないとの条件で任意に提供されたもので、法人等又は事業を営む個人における通例として公開しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
(4) 区政執行に関する情報で次に掲げるもの
ア 監査、検査、取締り、試験又は徴税等の事務事業に関する情報で、公開することにより当該事務事業又は同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に支障が生ずるおそれのあるもの
イ 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれのあるもの
ウ 公開することにより人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防その他公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれのあるもの
4 区長以外の実施機関は、第2項の規定により区長に移管する公文書ファイル等について、次に掲げる情報が含まれているものとして公開の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
(2) 法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報で、次に掲げるもの。ただし、人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報を除く。
ア 公開することにより当該法人等又は当該事業を営む個人に明らかに不利益を与えると認められる情報
イ 区長以外の実施機関の要請を受けて、公開しないとの条件で任意に提供されたもので、法人等又は事業を営む個人における通例として公開しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
6 区長は、前項の廃棄をしようとするときは、あらかじめ、当該廃棄が適当であるか確認しなければならない。ただし、1年以下の保存期間が設定された公文書ファイル等の廃棄をしようとするときは、この限りでない。
7 区長以外の実施機関は、第5項の廃棄をしようとするときは、あらかじめ、区長に協議しなければならない。ただし、1年以下の保存期間が設定された公文書ファイル等の廃棄をしようとするときは、この限りでない。
8 区長以外の実施機関は、前項の規定による協議に係る公文書ファイル等について、当該公文書ファイル等を区長に移管することが適当であると区長が認めるときは、当該公文書ファイル等を区長に移管しなければならない。
2 公文書管理規程等には、公文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 公文書の作成に関する事項
(2) 公文書の整理に関する事項
(3) 公文書の保存に関する事項
(4) 公文書ファイル等管理簿に関する事項
(5) 公文書の移管又は廃棄に関する事項
(6) 公文書の管理状況の報告に関する事項
(7) 前各号に掲げるもののほか、公文書の管理に必要な事項
3 実施機関は、公文書管理規程等を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
4 区長は、歴史的公文書を選別するための基準(以下「選別基準」という。)を設けなければならない。
5 区長は、選別基準を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
(指定管理者の文書の管理)
第10条 実施機関は、指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)が、この条例の趣旨にのっとり、その管理する公の施設(区が設置するものに限る。)の管理業務に係る文書の適正な管理に関し必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。
(出資等法人の文書の管理)
第11条 区が出資その他の財政支出等を行う法人で、区長が別に定めるもの(以下「出資等法人」という。)は、この条例の趣旨にのっとり、当該出資等法人が保有する文書の適正な管理に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 区長は、出資等法人が前項に規定する必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。
3 区長は、出資等法人の文書の管理が円滑に実施されるよう必要な措置を講ずるものとする。
第3章 特定歴史的公文書の保存等
(特定歴史的公文書の保存等)
第12条 区長は、特定歴史的公文書について、第14条の規定による廃棄をする場合を除き、永久に保存しなければならない。
2 区長は、特定歴史的公文書について、その内容、保存状態、時の経過、利用状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
3 区長は、特定歴史的公文書に個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第1項に規定する個人情報をいう。以下同じ。)が記録されている場合には、当該個人情報の漏えい防止のために必要な措置を講じなければならない。
4 区長は、別に定めるところにより、特定歴史的公文書の分類、名称その他の特定歴史的公文書の適切な保存を行い、及び適切な利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、公表しなければならない。
(利用の促進)
第13条 区長は、特定歴史的公文書(区長が別に定めるところにより利用させることができるものに限る。)について、展示その他の方法により積極的に一般の利用に供するよう努めなければならない。
(特定歴史的公文書の廃棄)
第14条 区長は、特定歴史的公文書が、劣化損傷等により判読及び修復が不可能で利用できなくなった場合その他重要でなくなったと認める場合は、当該特定歴史的公文書を廃棄することができる。
第4章 葛飾区公文書等管理委員会
(委員会の設置)
第15条 公文書等の管理を適正かつ効率的に行うため、区長の附属機関として葛飾区公文書等管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査し、及び審議して答申する。
(1) この条例の改廃に関する事項
(2) 公文書管理規程等の制定又は改廃に関する事項
(3) 選別基準の制定又は改廃に関する事項
(4) 歴史的公文書の移管(区長にあっては、第8条第1項の規定による保存)に関する事項
(5) 前条の規定による廃棄に関する事項
(6) 前各号に掲げるもののほか、公文書等の管理に関する重要な事項
(組織等)
第16条 委員会は、公文書等の管理に関して優れた識見を有する者その他区長が必要と認める者のうちから区長が委嘱する委員5人以内をもって組織する。
2 委員の任期は、3年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員会の会議は、公開とする。ただし、委員会が必要と認めた場合は、非公開とすることができる。
4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(資料の提出等の求め)
第17条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認める場合は、実施機関の職員その他関係者の出席を求め、必要な資料を提出させ、意見を聴き、又は説明を求めることができる。
(委員会の組織及び運営に関する事項についての委任)
第18条 前3条に規定するもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、区長が別に定める。
第5章 雑則
(管理状況の報告)
第19条 区長以外の実施機関は、公文書ファイル等管理簿の記載状況その他の公文書の管理状況について、毎年度、区長に報告しなければならない。
2 区長は、各実施機関における公文書ファイル等管理簿の記載状況その他の公文書の管理状況を取りまとめ、毎年度、その概要を公表しなければならない。
3 区長は、第1項に定めるもののほか、公文書の適正な管理を確保するために必要があると認める場合は、他の実施機関に対し、公文書の管理について、その状況に関する報告若しくは資料の提出を求め、又は当該職員に実地調査をさせることができる。
4 区長は、特定歴史的公文書の保存及び利用の状況について、毎年度、その概要を公表しなければならない。
(研修)
第20条 実施機関は、当該実施機関の職員に対し、公文書等の管理を適切かつ効率的に行うため、必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。
(組織の見直しに伴う公文書等の適正な管理のための措置)
第21条 実施機関は、当該実施機関の組織について統合、廃止等の組織の見直しが行われる場合には、その管理する公文書等について、当該見直しの後においても適正な管理が行われることが確保されるよう必要な措置を講じなければならない。
(電子化の推進)
第22条 実施機関は、適正な公文書等の管理、事務事業の効率化、区民利用の促進等に資するため、公文書等の電子化の推進に努めなければならない。
(委任)
第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、実施機関が別に定める。
付則
(準備行為)
2 公文書管理規程等及び選別基準の制定その他の準備行為は、この条例の施行の日前においても行うことができる。
4 この条例の施行の際現に区長が歴史的に重要であると認めて指定している公文書については、特定歴史的公文書とみなす。
(葛飾区議会等の求めにより出頭する者等の費用弁償に関する条例の一部改正)
5 葛飾区議会等の求めにより出頭する者等の費用弁償に関する条例(昭和41年葛飾区条例第33号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略