○葛飾区災害対策条例

平成15年3月27日

条例第3号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 災害対策に関する組織

第1節 葛飾区防災会議(第7条―第12条)

第2節 葛飾区災害対策本部(第13条―第16条)

第3章 災害予防対策(第17条―第26条の2)

第4章 災害応急対策(第27条―第30条)

第5章 復興対策(第31条)

第6章 雑則(第32条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、災害予防対策、災害応急対策及び復興対策(以下「災害対策」という。)に関し、基本理念を定め、並びに区民、事業者及び葛飾区(以下「区」という。)の責務を明らかにして必要な体制を確立するとともに、災害対策に関する基本的な事項を定めることにより、災害対策を総合的かつ計画的に推進し、もって区民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 地震、暴風、豪雨、洪水その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する原因により生ずる被害をいう。

(2) 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

(3) 事業者 区内に事務所若しくは事業所を有するもの又は区内のマンションその他の施設を管理しているものをいう。

(4) 防災市民組織 区民が自分たちのまちは自分たちで守るという地域の連帯意識に基づき自主的に結成した防災のための組織をいう。

(5) 防災関係機関 警視庁、東京消防庁その他災害対策を実施する東京都(以下「都」という。)の行政機関、災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第2条第3号から第6号までに規定する指定行政機関、指定地方行政機関、指定公共機関及び指定地方公共機関その他災害対策を実施する機関をいう。

(基本理念)

第3条 災害対策は、自助(自らの生命は自らが守るという自己責任の原則をいう。)及び共助(他人を助けることのできる区民が地域での助け合いによって自分たちのまちは自分たちで守ることをいう。)の理念を持つ区民と公助(行政が区民の安全を確保することをいう。)の役割を果たす区とが連携を図ることを基本として行われるものとする。

(区長の責務)

第4条 葛飾区長(以下「区長」という。)は、災害対策を通じて、区民の生命、身体及び財産を災害から保護し、その安全を確保するとともに、被災後の区民生活の再建及び安定並びに区の地域の復興を図るため、最大の努力を払わなければならない。

2 区長は、前項に規定する責務を遂行するため、法第42条第1項の規定に基づき葛飾区防災会議が作成した葛飾区地域防災計画(以下「地域防災計画」という。)の定めるところにより災害対策を策定し、その推進を図るものとする。

3 区長は、地域防災計画の実施に当たっては、国、都並びに関係する特別区及び市町村との連絡調整を行い、並びに区民、防災市民組織、事業者等との連携及び協力に努めるものとする。

(平24条例33・一部改正)

(区民の責務)

第5条 区民は、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合(以下「災害時」という。)において、自己及びその家族の安全の確保に努めるとともに、相互に協力して、全ての区民の安全を確保するよう努めなければならない。

2 区民は、次に掲げる事項について、自ら災害に備えるための手段を講ずるよう努めなければならない。

(1) 所有する建築物その他の工作物の耐震性及び耐火性を確保すること。

(2) 家具の転倒及び窓ガラスの飛散を防止すること。

(3) 火災の発生を防止すること。

(4) 初期消火に必要な器具を準備すること。

(5) 食糧及び飲料水その他生活用水を確保すること。

(6) 避難の経路、場所及び方法並びに家族との連絡手段を確認すること。

(7) 災害に関する情報を収集すること。

3 区民は、区、防災関係機関又は防災市民組織が実施する防災訓練、防災に関する研修その他災害対策に関する事業に自発的に参加し、及び協力して、防災行動力(自分たちのまちは自分たちで守るという意識をもって、力を合わせて災害に立ち向かう能力をいう。)の向上に努めるものとする。

(平24条例33・一部改正)

(事業者の責務)

第6条 事業者は、区、防災関係機関又は防災市民組織が実施する災害対策に関する事業に協力するとともに、事業活動を行うに当たっては、地域社会の一員として災害を防止するため、最大の努力を払うものとする。

2 事業者は、事業活動を行うに際し災害の拡大を防止するため、事務所又は事業所に来所する者、従業者及び事務所又は事業所の周辺地域における区民(次項において「周辺住民」という。)並びにその管理する施設及び設備について、その安全の確保に努めるものとする。

3 事業者は、災害時において、事務所若しくは事業所又は管理する施設の周辺地域における災害を最小限にとどめるため、周辺住民に対し災害対策に関する活動を実施するとともに、周辺住民との連携及び協力をするよう努めなければならない。

第2章 災害対策に関する組織

第1節 葛飾区防災会議

(設置及び所掌事務)

第7条 法第16条第1項の規定に基づき、区長の附属機関として、葛飾区防災会議(以下この節において「会議」という。)を置く。

2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

(1) 地域防災計画を作成し、及びその実施を推進すること。

(2) 区長の諮問に応じて区の地域に係る防災に関する重要事項を審議すること。

(3) 前号に規定する重要事項に関し、区長に意見を述べること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、法律又はこれに基づく政令によりその権限に属する事務

(平24条例33・一部改正)

(組織)

第8条 会議は、会長及び委員55人以内をもって組織する。

2 会長は、区長をもって充てる。

3 会長は、会務を総理する。

4 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(委員の任命又は委嘱及び任期)

第9条 委員は、次に掲げる者のうちから、区長が任命し、又は委嘱する。

(1) 法第2条第4号に規定する指定地方行政機関の職員

(2) 陸上自衛隊の自衛官

(3) 都知事の部内の職員

(4) 警視庁の警察官

(5) 区長の部内の職員

(6) 区教育委員会の教育長

(7) 東京消防庁の消防吏員及び消防団の団長

(8) 法第2条第5号に規定する指定公共機関及び同条第6号に規定する指定地方公共機関の役員又は職員

(9) 区議会議員

(10) 医療関係団体の代表者

(11) 自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者

2 前項第8号から第11号までに掲げる者のうちから任命され、又は委嘱された委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 前項の委員は、再任されることができる。

(平19条例29・平24条例33・令5条例11・一部改正)

(専門委員)

第10条 会議に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

2 専門委員は、前条第1項各号(第9号を除く。)に掲げる委員の属する機関等の役員、職員、構成員等(以下「委員の属する機関の職員等」という。)及び学識経験を有する者のうちから、区長が任命し、又は委嘱する。

3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

(平24条例33・令5条例11・一部改正)

(幹事)

第11条 会議に幹事を置くことができる。

2 幹事は、委員の属する機関の職員等のうちから、区長が任命する。

3 幹事は、会議の所掌事務について、会長、委員及び専門委員を補佐する。

(議事等)

第12条 会議の議事運営に関し必要な事項は、会長が会議に諮って定める。

第2節 葛飾区災害対策本部

(設置及び組織)

第13条 法第23条の2第1項の規定に基づき、葛飾区災害対策本部(以下この節において「本部」という。)を置く。

2 本部に本部長室及び部を置く。

3 部に部長を置く。

(平24条例33・一部改正)

(職務)

第14条 災害対策本部長(以下この節において「本部長」という。)は、本部の事務を総括し、本部の職員を指揮監督する。

2 災害対策副本部長は、本部長を補佐し、本部長に事故があるときは、その職務を代理する。

3 部長は、本部長の命を受け、部の事務を掌理する。

4 その他の職員は、部長の命を受け、部の事務に従事する。

(現地災害対策本部の設置等)

第15条 本部長は、必要があると認めるときは、災害地に現地災害対策本部(以下この節において「現地本部」という。)を置くことができる。

2 現地本部に現地災害対策本部長、現地災害対策副本部長及び現地災害対策本部員その他の職員を置き、災害対策副本部長、災害対策本部員その他の職員のうちから本部長が指名する者をもって充てる。

3 現地災害対策本部長は、本部長の命を受け、現地本部の事務を掌理する。

(委任)

第16条 前3条に定めるもののほか、本部及び現地本部に関し必要な事項は、葛飾区規則(以下「規則」という。)で定める。

第3章 災害予防対策

(防災都市づくりの推進)

第17条 区長は、地域防災計画に基づき、防災都市づくり(災害を予防し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぐため、建築物及び都市施設(都市計画法(昭和43年法律第100号)第11条第1項各号に掲げる施設をいう。)等についての耐震性及び耐火性の確保、道路及び橋りようの整備その他都市構造の改善に関する措置をいう。)を推進するものとする。

(情報連絡体制の整備)

第18条 区長は、災害時に備え、災害に関する情報を迅速かつ的確に収集する方法、災害対策本部、防災関係機関、避難所等との連絡に関する方法、災害に関する正確な情報を区民に提供する方法その他の情報の収集及び連絡の体制を整備するものとする。

(避難体制の整備)

第19条 区長は、災害時において、区民が安全に避難し、又は住居の倒壊等により住居での生活が困難となった区民を救援するため、一時いつとき集合場所(避難場所又は避難所に避難する前に一時的に集合する場所をいう。)、避難場所(災害から区民を避難させるためにあらかじめ指定する場所をいう。以下同じ。)、避難所(救助を要する被災者に対し、宿泊、給食、医療その他の支援を行う場所をいう。以下同じ。)等の整備に努めるものとする。

(防災知識の普及等)

第20条 区長は、防災に関する知識の普及及び情報の提供を積極的に推進し、区民の防災知識の向上及び防災意識の高揚に努めるものとする。

(防災教育)

第21条 区は、学校教育、社会教育等を通じて防災教育の充実に努めるとともに、区民、事業者及び防災市民組織が行う防災教育に対し、支援及び協力を行うよう努めるものとする。

(防災市民組織の活動)

第22条 防災市民組織は、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 初期消火活動、救助活動及び救護活動のために必要な資器材(資材及び器材をいう。以下同じ。)を準備すること。

(2) 定期的に訓練を行い、初期消火活動、救助活動及び救護活動に関する技術を習得し、並びに当該技術の向上に努めること。

(3) 災害時において、区、防災関係機関及び事業者と協力し、初期消火活動、救助活動、救護活動、避難誘導活動等を行うこと。

(防災市民組織の育成)

第23条 区長は、防災市民組織を育成するため、防災に関する研修の実施その他の必要な支援及び協力を行い、その充実が図られるよう努めるものとする。

2 区長は、防災市民組織の活動を促進するため、防災市民組織における地域防災リーダー(防災市民組織の活動において中心的な役割を担う者をいう。)の育成に努めるものとする。

3 区長は、防災市民組織と区内で活動する団体等とが、災害時において効果的な活動を行うためのネットワーク(相互に連携し、補完し合うことにより、被災者に対して必要な活動を一体的に、かつ、効果的に行う仕組みをいう。)づくりの促進に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(ボランティアへの支援)

第24条 区長は、災害時において、ボランティアが被災者に対する支援活動を円滑に行うことができるように、ボランティアに対し、活動拠点の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。

2 区長は、都と連携を図りつつ、協力してボランティアの育成に努めるものとする。

(防災訓練の実施)

第25条 区長は、都、防災関係機関等と連携を図り、防災訓練を積極的に実施しなければならない。

2 前項の防災訓練に参加した者が当該防災訓練により死亡し、又は傷害を受けたときは、区長が別に定めるところにより補償を行うものとする。

(要配慮者に対する施策)

第26条 区長は、災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下「要配慮者」という。)の安全の確保に配慮して、災害対策を講ずるよう努めるものとする。

2 区長は、区民、防災市民組織及び事業者の協力を得て、区の地域における要配慮者の支援体制を整備するものとする。

(令5条例11・一部改正)

(避難行動要支援者名簿の提供)

第26条の2 区長は、災害の発生に備え、法第49条の10第1項に規定する避難支援等の実施に必要な限度で、法第49条の11第2項に規定する避難支援等関係者に対し、同条第1項に規定する名簿情報を提供するものとする。この場合において、区の区域を管轄する警察署及び消防署へ提供する場合に限り、当該名簿情報を提供することについて法第49条の10第1項に規定する避難行動要支援者の同意を得ることを要しないものとする。

(令5条例11・追加)

第4章 災害応急対策

(応急体制の整備)

第27条 区長は、災害時において、避難活動及び救援活動を円滑に行うため、医療救護体制その他の必要な体制を確立し、必要な物資及び資器材を備蓄し、並びに防災に関する施設及び設備の整備に努めるものとする。

(他の地方公共団体等への協力要請の方法)

第28条 区長は、災害の発生に備え、あらかじめ他の地方公共団体、民間団体等に対し災害対策への協力を要請する方法を確立するものとする。

(避難路の確保及び避難誘導の方法)

第29条 区長は、都と連携を図りつつ、協力して災害時において区民が避難場所及び避難所に安全に避難するため必要な避難橋その他の避難路の確保に努めなければならない。

2 区長は、災害の発生に備え、あらかじめ避難誘導の方法を確立し、区民に周知しなければならない。

(帰宅困難者の事前準備等)

第30条 事務所若しくは事業所に通勤し、又は学校に通学する者等で徒歩により容易に帰宅することが困難なもの(以下「帰宅困難者」という。)は、災害時において、安全に帰宅することができるようにするため、あらかじめ徒歩による帰宅経路の確認、家族との連絡手段の確保その他必要な準備を行うように努めるものとする。

2 区長は、災害時において、帰宅困難者が安全に帰宅することができるようにするため、あらかじめ他の特別区その他の地方公共団体と連携を図りつつ、協力して帰宅困難者の円滑な帰宅を確保する対策を講ずるように努めるものとする。

第5章 復興対策

(復興対策)

第31条 区長は、災害によりに重大な被害が発生したときは、国、都、防災関係機関等と連携し、及び区民と力を合わせ、総力を挙げて復興を図るものとする。

2 区長は、復興を円滑に行うため、あらかじめ復興対策を講ずるものとする。

第6章 雑則

(委任)

第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成15年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。

(葛飾区防災会議条例の廃止)

2 葛飾区防災会議条例(昭和38年葛飾区条例第15号)は、廃止する。

(経過措置)

3 前項の規定による廃止前の葛飾区防災会議条例(以下「旧条例」という。)第3条第5項の規定により区長が任命し、又は委嘱した委員で施行日後にその任期が満了するものは、施行日において第9条第1項の規定により区長が任命したものとみなす。

4 第9条第2項の規定にかかわらず、前項に規定する委員の任期は、旧条例第3条第5項の規定により任命し、又は委嘱した期間とする。

5 旧条例第5条第2項の規定により区長が任命し、又は委嘱した幹事は、施行日において第11条第2項の規定により区長が任命したものとみなす。

(葛飾区災害対策本部条例の廃止)

6 葛飾区災害対策本部条例(昭和38年葛飾区条例第16号)は、廃止する。

(平成19年6月28日条例第29号)

(施行期日)

1 この条例は、平成19年10月1日(以下「施行日」という。)から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に改正前の第9条第1項の規定により区長が委員に任命している郵便局の職員は、施行日に改正後の第9条第1項の規定により区長が委員に任命したものとみなす。

(平成24年10月18日条例第33号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年3月29日条例第11号)

(施行期日)

1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第49条の11第2項の規定により提供された名簿情報(同条第1項に規定する名簿情報をいう。以下この項において同じ。)は、改正後の第26条の2の規定により提供された名簿情報とみなす。

葛飾区災害対策条例

平成15年3月27日 条例第3号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 防災・安全
沿革情報
平成15年3月27日 条例第3号
平成19年6月28日 条例第29号
平成24年10月18日 条例第33号
令和5年3月29日 条例第11号