葛飾区ホームページ http://www.city.katsushika.lg.jp タイトル 新春特別インタビュー 平山ユージさん プロフリークライマー/日本山岳・スポーツクライミング協会副会長 葛飾から夢を描き世界を広げてほしい 一生飽きないものとの出会い  小学生の頃から陸上をやっていたんですけど、中学に入ってからは周りとの体格差から伸び悩んでいて。そんな時期に、たまたま親戚の家の近くにある筑波山に登ったんです。空が青くて「すがすがしいなあ」と感じるとともに、マイペースに登ることで体が強くなっていく山登りの魅力に惹かれました。  それからはいろんな山に挑戦したのですが、もっと高い山や難しい山を登るには、岩登り(クライミング)ができなければいけないと思いました。そんな時に、登山用品店でクライミング道具を見ていたら、店員さんが「岩登りやりたそうだね」と声を掛けてくれて。すぐに「やりたいです!」と答えたら、一週間後に山に連れて行ってくれて、最初に行った山が埼玉県日高市の日和田山でした。幅5mくらいで高さ7〜8mの小さな岩ですけど、一つ一つのルートで全く違う登り方を求められました。その時に世界中の岩を想像したんですよ。こんなに小さい岩でもこれだけ遊べるんだから、きっと世界中の岩を追いかけだしたら一生飽きないなと思って。それが15歳の頃でしたね。 クライミングの魅力にとりつかれてアメリカへ  当時はアメリカがクライミングの中心になっていて、僕も始めてすぐにアメリカに行こうと決めていました。「世界のトップにたどり着きたい」という気持ちだったんでしょうね。高校1年の9月に本格的にクライミングを始めてからアルバイトも始めて、高校3年の5月にようやくお金が貯まってアメリカに行けました。そこまで頑張れたのは、よっぽどクライミングの魅力にとりつかれていたからでしょうね(笑)。 クライミングから学んだこと  プロのクライマーとして国際大会に出場し、ワールドカップ総合優勝もできましたが、やっぱり岩を追いかけて、いろんな国に行けて、いろんな人に出会って、またいろんな文化に触れて、そういった中で、いろいろ学べているのかな。最初はそんなことを考えて始めたわけではないですけどね。難しいことを追いかけるのは、自分の世界を広めることにつながると思います。いろんな岩場を追いかけていくということも、どんどん自分の世界を広げてくれましたね。 つながりが濃いまち葛飾での思い出  子どもの時はあまり練習する場所がなくて。これはあまり話したくないんですけど…。自宅の近くの工場の塀に穴を開けて登れるようにしたんです。大きな工場だったので少しぐらいは大丈夫だと思ったんですけど、結構目立ったみたいでバレてしまいました(笑)。その後、奥戸の運動場にクライミングの壁ができて、どんなものかなと思って1・2回行ったんですが、すぐに登れてしまって物足りなかったかな。  そういえば、今でもいるのかな、お花茶屋駅前のコンビニのおばさん。家に帰る時にお酒を買って帰ろうとしたら、「ユージくん最近テレビに出てないね」みたいな感じで言われて、「ああ、胸に刺さるなあ(笑)」って。でもそういう感じが葛飾だったな。口が悪いけど、温かいみたいなところが。やっぱり自分が育ったまちでのつながりというのは濃いですよね。小さい頃の自分を知っている人は、子どものままの“ユージくん”みたいな感じでいつまでも思ってくれていて。そういうところが嬉しいですよね。 東京2020オリンピック後も、選手が活躍できる組織に  クライミング界のためにオリンピック自国開催に向かって活動できるのは一生に一度しかないと思い、現在は日本山岳・スポーツクライミング協会でも活動しています。現在はスポーツクライミング(※)日本代表の選手たちが大活躍してくれているので、この火を未来永続的に灯し続けていきたいという思いがあります。強い選手が生まれてくるようにその土台をしっかりと作り上げていって、競争意識をかきたてるような活性化した組織を作っていきたいです。そして、そのピラミッドの上が世界なんだということが選手に分かりやすく伝わるようにしたいです。 オリンピックは世界を知るチャンス  自分が住んでいる東京で開催されるというのは、人生で1回あるかないか。開催される前から雰囲気を楽しんで、日本選手の活躍を応援してほしいですね。東京にたくさんの選手や取材陣、その他関係者が来て、オリンピック期間は一気に外国みたいに変わるでしょうね。いろんな国の人との出会いがあって、その出会いが世界を知るきっかけになるかもしれないですね。自分はクライミングを通して世界を広げ、大きな夢を描くことができました。これを機に葛飾の子どもたちも世界を知り、大きな夢を描いてくれるのであれば、何よりも嬉しいです。 (※)スポーツクライミングとは  人工的に作った壁を「ホールド」と呼ばれる突起物をつかんで自身の体のみで登るスポーツ。  東京2020オリンピック競技大会で実施される種目は、同じ条件で設置された高さ15mの壁を2人の選手が同時に登り速さを競う「スピード」、高さ4mの壁を制限時間内にいくつ登れるかを競う「ボルダリング」、制限時間内に高さ15m以上の壁のどの地点まで登れるかを競う「リード」の3つ。各選手がこの3種目を行い、その合計点で順位が決まる。 プロフィール 1969年2月23日生まれ。葛飾区出身。 1998年に日本人初のワールドカップ総合優勝。2000年に2度目のワールドカップ総合優勝を果たす。世界一美しいと評されるクライミングスタイルで「世界のヒラヤマ」として知られる。 タイトル 九重親方・青木克コ区長新春対談の模様を放送します J:COM東葛・葛飾(地上デジタル放送11チャンネル) ●1月4日(金)午後8時30分から ●1月5日(土)正午から ●1月6日(日)午後7時から ●1月7日(月)午後6時30分から ●1月8日(火)午後11時30分から ●1月9日(水)午後8時30分から  視聴には事前の申し込みが必要です(有料)。詳しくは、J:COMカスタマーセンター電話0120‐914‐000へお問い合わせください。 かつしかFM(78.9MHz) ●1月4日(金)午後5時から ●1月6日(日)午前9時から ●1月13日(日)午後8時から