葛飾区子かつしかくこどもの権利条例けんりじょうれい

令和5年9月25日

条例第56号

目次もくじ

前文ぜんぶん

だい1しょう 総則そうそく(だい1じょうだい3じょう)

だい2しょう どもの大切たいせつ権利けんり(だい4じょうだい8じょう)

だい3しょう どもの権利けんり保障ほしょうするための役割及やくわりおよ責務せきむ(だい9じょうだい15じょう)

だい4しょう どもが安心あんしんしてらすことができるまちづくりの推進すいしん(だい16じょうだい23じょう)

だい5しょう 相談及そうだんおよ救済きゅうさい(だい24じょう)

だい6しょう 雑則ざっそく(だい25じょう)

付則ふそく

どもは、一人一人ひとりひとりがかけがえのない存在そんざいです。まれながらに権利けんりち、自分じぶん意志いしって成長せいちょうしていくことができます。

すべてのどもは、いのちまもられ、差別さべつされることなく、まわりの大人おとなからの愛情あいじょうもとあそび、まなび、安心あんしんして生活せいかつすることができます。そのために、わたしたち大人おとなは、どもの意見いけんき、大切たいせつめ、一緒いっしょかんがえ、どもにとってもっといことをかんがえていきます。

わたしたちは、すべてのどもが心身しんしん状況じょうきょうかれている環境等かんきょうとうにかかわらず、将来しょうらいにわたって権利けんり保障ほしょうされ、笑顔えがおしあわせにゆたかな生活せいかつおくることができる平和へいわ社会しゃかい実現じつげんしなければなりません。

このような認識にんしきもと葛飾区かつしかくは、基本的人権きほんてきじんけん尊重そんちょう基本原理きほんげんりひとつとする日本国憲法及にほんこくけんぽうおよ児童じどう権利けんりかんする条約じょうやく理念りねんもとづき、どもの権利けんり保障ほしょうし、すこやかな成長せいちょうささえることを宣言せんげんし、この条例じょうれいさだめます。

だい1しょう 総則そうそく

(目的もくてき)

だい1じょう この条例じょうれいは、どもの権利けんり大切たいせつまもっていくための基本きほんとなる事項じこうさだめることにより、どもの最善さいぜん利益りえき実現じつげんされる「かつしか」を目指めざし、葛飾区かつしかく(以下いか」といいます。)全体ぜんたいどものすこやかな成長せいちょうささえていくことを目的もくてきとします。

(言葉ことば意味いみ)

だい2じょう この条例じょうれい使つか言葉ことば意味いみは、それぞれつぎのとおりです。

(1) ども」とは、葛飾区内かつしかくない(以下いか区内くない」といいます。)在住ざいじゅうし、在学ざいがくし、在勤ざいきんするとう区内くないにおいて生活せいかつし、およ活動かつどうする18歳未満さいみまん人及ひとおよびこれらのひとひとしく権利けんりみとめることが適当てきとうであるひとのことをいいます。

(2) 保護者ほごしゃ」とは、どものおや里親さとおやその他親たおやわりどもを養育よういくするひとのことをいいます。

(3) 区民等くみんとう」とは、区内くない在住ざいじゅうし、在学ざいがくし、また在勤ざいきんする人並ひとならびに区内くない活動かつどうしている団体及だんたいおよ事業者じぎょうしゃのことをいいます。

(4) そだまな施設しせつ」とは、保育所ほいくしょ幼稚園ようちえん学校等がっこうとうどもがそだち、まなび、また活動かつどうするために利用りようする施設しせつのことをいいます。

(基本理念きほんりねん)

だい3じょう どもの権利けんりは、つぎかかげる事項じこう基本理念きほんりねんとして、保障ほしょうされなければなりません。

(1) どものいのちまもられ、安全及あんぜんおよ安心あんしん環境かんきょうもとってまれた能力のうりょく十分じゅうぶんばして成長せいちょうできるよう、医療いりょう教育及きょういくおよ生活せいかつ支援しえんけること。

(2) ども自身じしん自分じぶん意見いけん自由じゆう表明ひょうめいすることができ、どもの年齢及ねんれいおよ成長せいちょう程度ていどおうじて、十分じゅうぶん尊重そんちょうされること。

(3) どもにかんすることがめられ、おこなわれるときにおいて、どもの最善さいぜん利益りえき優先ゆうせんされ、およ考慮こうりょされること。

(4) どもがまれそだった環境かんきょう人種じんしゅ国籍こくせき性別せいべつ障害しょうがい有無等うむとう理由りゆうとしたあらゆる差別及さべつおよ不利益ふりえきけることがないこと。

だい2しょう どもの大切たいせつ権利けんり

(大切たいせつ権利けんり)

だい4じょう どもは、日本国憲法及び児童じどう権利けんりかんする条約じょうやく(どもの権利条約けんりじょうやくともいいます。)理念りねんもとづき、まれたときから権利けんりひととして、その権利けんり大切たいせつまもられます。

2 どもは、自分じぶん権利けんり大切たいせつにされるのとおなじように、自分以外じぶんいがいひと権利けんり大切たいせつにします。

(安心あんしんしてきる権利けんり)

だい5じょう どもは、安心あんしんしてきるため、つぎかかげる権利けんりまもられます。

(1) いのちまもられ、およ尊重そんちょうされること。

(2) 愛情あいじょうって理解りかいされ、およそだつこと。

(3) 健康けんこう配慮はいりょされ、およ適正てきせい医療いりょうけられること。

(4) あらゆる差別さべつけないこと。

(5) 身体的又しんたいてきまた精神的せいしんてき暴力ぼうりょく虐待等ぎゃくたいとうけないこと。

(6) 放置ほうちされないこと。

(のびのびとそだ権利けんり)

だい6じょう どもは、のびのびとそだつため、つぎかかげる権利けんりまもられます。

(1) あそび、まなび、およやすむこと。

(2) 文化ぶんか芸術げいじゅつ、スポーツとうゆたかな経験けいけんができること。

(3) 個人こじんとして個性及こせいおよ特性とくせい理解りかいされ、ならびに尊重そんちょうされること。

(4) どもであることを理由りゆう不当ふとうあつかいをけないこと。

(5) 自分じぶんかんすることについて、必要ひつよう助言及じょげんおよ支援しえんけながら、年齢及ねんれいおよ成長せいちょう程度ていどおうじて、自分じぶんめることができること。

(まもられる権利けんり)

だい7じょう どもは、権利侵害けんりしんがい状態じょうたいから回復かいふくするため、つぎかかげる権利けんりまもられます。

(1) 暴力ぼうりょく搾取さくしゅ有害ゆうがい労働等ろうどうとうからまもられること。

(2) そだつことが妨害ぼうがいされる状況じょうきょうからまもられること。

(3) 気軽きがる相談そうだんでき、必要ひつよう支援しえんける機会きかいまもられること。

(参加さんかする権利けんり)

だい8じょう どもは、自分じぶんかかわることに主体的しゅたいてき参加さんかするため、つぎかかげる権利けんりまもられます。

(1) 自分じぶん意見いけん自由じゆう表明ひょうめいできる機会きかいもうけられること。

(2) 自分じぶん意見いけん大切たいせつめられ、およ尊重そんちょうされること。

(3) 仲間なかまつくり、あつまること。

だい3しょう どもの権利けんり保障ほしょうするための役割及やくわりおよ責務せきむ

(役割やくわり)

だい9じょう は、あらゆる施策しさくつうじてどもの権利けんり保障ほしょうし、どもが安心あんしんしてらすことができるまちづくりを推進すいしんするものとします。

2 は、どもの権利けんり保障ほしょうについて、保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつ協働きょうどうし、およ連携れんけいし、どもの活動かつどう支援しえんするものとします。

(保護者ほごしゃ役割やくわり)

だい10じょう 保護者ほごしゃは、家庭かていどものすこやかな成長せいちょうのために大切たいせつであることならびにどもの養育及よういくおよ成長せいちょう第一義的だいいちぎてき責任せきにんゆうすることを認識にんしきし、どもの権利けんり保障ほしょうするようつとめます。

2 保護者ほごしゃは、必要ひつようおうじて、区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつ協力及きょうりょくおよ支援しえんけながら、どもがすこやかに成長せいちょうできるようつとめます。

(区民等くみんとう役割やくわり)

だい11じょう 区民等くみんとうは、どもの権利けんりについての理解りかいふかめ、どもの権利けんり保障ほしょうするようつとめます。

2 区民等くみんとうは、地域社会ちいきしゃかいどものすこやかな成長せいちょう重要じゅうよう役割やくわりっていることを認識にんしきし、どもがすこやかにそだち、およ安全あんぜん安心あんしんしてごすことができるよう、区及くおよそだまな施設しせつ必要ひつよう支援しえんけながら、地域社会全体ちいきしゃかいぜんたいどもを見守みまもり、およ支援しえんするようつとめます。

(そだまな施設しせつ役割やくわり)

だい12じょう そだまな施設しせつは、その活動かつどうにおいてどもの権利けんり保障ほしょうするようつとめます。

2 そだまな施設しせつは、そだまな施設しせつどものすこやかな成長せいちょう重要じゅうよう役割やくわりっていることを認識にんしきし、どもが自分じぶんかんがえ、まなび、およ活動かつどうすることができるよう、保護者及ほごしゃおよ区民等くみんとう協働きょうどうし、およ連携れんけいし、どものすこやかなそだちを支援しえんするようつとめます。

(家庭かていにおける権利けんり保障ほしょう)

だい13じょう 保護者ほごしゃは、家庭かていにおいてどもがすこやかに成長せいちょうするため、つぎかかげる事項じこうについて、必要ひつよう取組とりくみおこなうようつとめなければなりません。

(1) 差別さべつ暴力ぼうりょく虐待等ぎゃくたいとうけず、愛情あいじょうってそだてられること。

(2) 年齢及ねんれいおよ成長せいちょう程度ていどおうじて、意見いけん尊重そんちょうされ、およ最善さいぜん利益りえき考慮こうりょされること。

(3) 個人こじんとして個性及こせいおよ特性とくせい尊重そんちょうされ、ならびに個人こじん秘密ひみつまもられること。

(そだまな施設しせつにおける権利けんり保障ほしょう)

だい14じょう そだまな施設しせつは、その活動かつどうにおいてどもがすこやかに成長せいちょうするため、つぎかかげる事項じこうについて、必要ひつよう取組とりくみおこなうようつとめなければなりません。

(1) 年齢及ねんれいおよ成長せいちょう程度ていどおうじて、あそび、まなび、およそだつこと。

(2) 個人こじんとして個性及こせいおよ特性とくせい尊重そんちょうされ、ならびに私生活上しせいかつじょう秘密ひみつまもられること。

(3) 差別さべつ暴力ぼうりょく虐待等ぎゃくたいとうけないこと。

(地域社会ちいきしゃかいにおける権利けんり保障ほしょう)

だい15じょう 区民等くみんとうは、地域社会ちいきしゃかいにおいてどもがすこやかに成長せいちょうするため、つぎかかげる事項じこうについて、必要ひつよう取組とりくみおこなうようつとめなければなりません。

(1) 地域社会ちいきしゃかいなかで、個人こじんとして個性及こせいおよ特性とくせい尊重そんちょうされ、見守みまもられながらそだつこと。

(2) 差別さべつ暴力ぼうりょく虐待等ぎゃくたいとうけないこと。

(3) あそび、まなび、またやすむために、一人ひとりでも集団しゅうだんでも利用りようできる場所ばしょがあること。

だい4しょう どもが安心あんしんしてらすことができるまちづくりの推進すいしん

(どもにかんする施策しさく推進すいしん)

だい16じょう は、ども、保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつ協働きょうどうし、およ連携れんけいし、どもの視点してん大切たいせつにしたうえで、どもにかんする施策しさく推進すいしんするものとします。

(どものそだちの支援しえん)

だい17じょう は、どものまな意欲及いよくおよまな権利けんり尊重そんちょうし、保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつ協力きょうりょくして、どもの個性及こせいおよ特性とくせい大切たいせつにしながら、その可能性かのうせい最大限さいだいげんばすことができる環境かんきょう整備せいびするものとします。

2 区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、どもおよ保護者ほごしゃがいつでも安心あんしんして相談そうだんができるつくり、およびその支援しえんをするようつとめます。

(子育こそだ家庭かてい支援しえん)

だい18じょう は、保護者ほごしゃどもの権利けんりまもりながら安心あんしんして子育こそだてができ、その責務せきむたせるよう必要ひつよう支援しえんをするものとします。

2 区及くおよそだまな施設しせつは、特別とくべつ支援又しえんまた配慮はいりょ必要ひつようとするどもおよ家庭かていたいし、安心あんしんしてらすことができるよう必要ひつよう支援しえんをするようつとめます。

(どもが安全あんぜん安心あんしんしてごすことができる環境かんきょうづくり)

だい19じょう 保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、どもがありのままの自分じぶんでいられて、安全あんぜん安心あんしんしてごすことができる環境かんきょうづくりにつとめます。

2 は、どもが安全あんぜん安心あんしんしてごすことができる環境かんきょうづくりのための活動かつどうおこな区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつとの連携れんけいはかり、その活動かつどうたいして支援しえんをするものとします。

(虐待ぎゃくたい体罰たいばつ、いじめとう権利侵害けんりしんがい防止ぼうし)

だい20じょう 保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、虐待ぎゃくたい体罰たいばつ、いじめとう権利侵害けんりしんがいについて、けっしてだれもがしてはならないという認識にんしきもとどもが安全あんぜん安心あんしんしてごすことができるようつとめます。

2 保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、日頃ひごろからどもの意見いけんみみかたむけ、およどもにやさしくい、どもにたいする虐待ぎゃくたい体罰たいばつ、いじめとう権利侵害けんりしんがい防止及ぼうしおよ早期発見そうきはっけんつとめます。

3 区及くおよそだまな施設しせつは、権利侵害けんりしんがいけたどもを適切てきせつかつ迅速じんそく救済きゅうさいするため、関係機関かんけいきかん連携れんけいし、必要ひつよう支援しえんおこなうようつとめます。

(貧困ひんこん防止ぼうし)

だい21じょう は、すべてのどもがすこやかに成長せいちょうできるよう、保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつ連携れんけいし、どもの貧困ひんこん防止ぼうしむものとします。

(どもの意見いけん表明及ひょうめいおよ参加さんかする機会きかい確保かくほ)

だい22じょう は、どもを権利けんり主体しゅたいとして尊重そんちょうし、どもが自分じぶん意見いけん表明ひょうめいしたり、社会しゃかい参加さんかすることができるよう、どもの背景及はいけいおよ状況じょうきょう配慮はいりょした、どもの参加さんか機会きかい確保かくほするものとします。

2 保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、どもの意見いけん表明ひょうめいたいし、その意見いけん大切たいせつめ、どもにとってより方法ほうほう一緒いっしょかんがえるようつとめます。

3 保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、どもの意見いけん表明及ひょうめいおよ社会しゃかいへの参加さんか促進そくしんするため、どもがその大切たいせつおよ方法ほうほうについてまなび、ならびに必要ひつよう情報じょうほうることができるようつとめます。

(広報及こうほうおよ啓発けいはつ)

だい23じょう は、どもの権利けんりについて、ども、保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつ理解りかいしてもらうよう、広報及こうほうおよ啓発けいはつをするものとします。

2 は、家庭かていそだまな施設しせつ地域社会等ちいきしゃかいとうで、どもが権利けんりについてまなび、自分じぶんだけでなく自分以外じぶんいがいひと権利けんり大切たいせつにできるよう、必要ひつよう支援しえんをするものとします。

だい5しょう 相談及そうだんおよ救済きゅうさい

(どもの権利けんりまもるための取組とりくみ)

だい24じょう 保護者ほごしゃ区民等及くみんとうおよそだまな施設しせつは、どもの権利けんりまもられていない状態じょうたい早期そうき発見はっけんし、たがいに協力きょうりょくし、およ連携れんけいして、権利けんりまもられていない状態じょうたいからの回復かいふくのための支援しえんつとめます。

2 は、どもが権利けんり侵害しんがいされ、また不利益ふりえきけた場合等ばあいとうにおいて、適切てきせつかつ迅速じんそくどもの救済きゅうさいはかることができるよう、体制たいせい構築こうちくその必要ひつよう取組とりくみおこなうものとします。

だい6しょう 雑則ざっそく

(委任いにん)

だい25じょう この条例じょうれい施行しこうかん必要ひつようなことは、葛飾区長かつしかくちょうべつさだめます。

 そく

この条例じょうれいは、令和れいわ5ねん10月1日がつついたちから施行しこうします。

葛飾区子どもの権利条例

令和5年9月25日 条例第56号

(令和5年10月1日施行)

体系情報
第11編 童/第1章 児童福祉
沿革情報
令和5年9月25日 条例第56号