○葛飾区環境基本条例

令和4年3月30日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全に関する基本的施策(第7条―第16条)

第3章 環境審議会(第17条)

第4章 雑則(第18条)

付則

私たちの葛飾区は、東京の北東端に位置し、荒川、江戸川、大場川が区の境をなしているほか、中川、新中川、綾瀬川が区内を流れており、身近な環境として水辺が多く存在している。また、都内で唯一水郷の景観をもつ水元公園では、小合溜の水辺環境を生かして野鳥や昆虫類、魚類、水生生物が見られるなど、河川や緑豊かな環境と人々の暮らしが調和したかけがえのないふるさとである。

この恵み豊かな環境は、先人から受け継ぎ、過去から現在へと長い年月を掛けて、独自の歴史と人情豊かな文化を育み、私たちの暮らしを発展させてきた。

しかしながら、近年の大量生産、大量消費、大量廃棄を基調とした社会経済活動は、私たちに物質的な豊かさをもたらし、生活の利便性を高めた一方で、温室効果ガスの増加による地球温暖化や気候変動、廃棄物の投棄による海洋汚染や生態系の破壊など、地球環境に重大かつ深刻な影響を及ぼし、人類の生存基盤を脅かしている。わがまち葛飾も例外ではない。

私たちは、恵み豊かな環境を享受する権利を有するとともに、将来の世代に引き継いでいく義務を有している。

このような認識のもと、全ての者が連携し、かけがえのない葛飾区の環境を保全するとともに、環境への負荷の少ない持続可能な発展を目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに葛飾区(以下「区」という。)、葛飾区民(以下「区民」という。)及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本的な事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の区民が持続的に健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境の保全」とは、良好な環境を維持すること、回復すること及びより豊かに創造することをいう。

2 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に基づく生活環境の侵害であって、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭等によって、人の生命若しくは健康が損なわれ、又は人の快適な生活が阻害されることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、区民が健全で恵み豊かな環境を享受するとともに、将来の世代に確実に継承されるよう適切に行われなければならない。

2 環境の保全は、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会が構築されることを目的として、全ての者が連携し、適切な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 環境の保全は、区、区民及び事業者が自らの課題として捉え、それぞれの施策、日常生活及び事業活動において積極的かつ着実に推進されなければならない。

4 区における令和32年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。)の実現への取組は、区、区民及び事業者が協働し、行われなければならない。

(区の責務)

第4条 区は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(区民の責務)

第5条 区民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の減量等により、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、区民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、区が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止するとともに、適正な環境の保全のために、必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するよう努めなければならない。

3 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、環境負荷の少ない事業活動を実施するとともに、事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られることとなるように、必要な措置を講ずる責務を有する。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、事業活動に伴う環境の保全に自ら努めるとともに、区が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全に関する基本的施策

(施策の基本方針)

第7条 区は、環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、他の施策と相互に連携を図り、総合的かつ計画的に行わなければならない。

(環境基本計画)

第8条 区長は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、葛飾区環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。

2 環境基本計画は、環境の保全に関する施策の総合的な方針及び当該施策を推進するために必要な事項について定めるものとする。

3 区長は、環境基本計画に区民及び事業者の意見が反映されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

4 区長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(施策の策定及び実施に当たっての配慮)

第9条 区は、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、環境基本計画との整合を図るとともに、環境の保全に配慮しなければならない。

(財政上の措置)

第10条 区は、環境の保全に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。

(環境の確保)

第11条 区は、良好な環境を確保するため、区民及び事業者と連携し、自然環境の保全、緑化の推進、快適な生活環境の形成その他の必要な措置を講ずるものとする。

(循環型社会の構築)

第12条 区は、環境への負荷の低減を図るため、区民及び事業者が排出する廃棄物の減量及び適正な処理並びに資源及びエネルギーの有効活用が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 区は、環境への負荷の低減に資する製品及びサービスの利用が促進されるよう努めなければならない。

(環境学習等の推進)

第13条 区は、区民の環境の保全に関する理解及び区民による環境の保全に関する活動が推進されるよう、環境学習の促進、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(助成等の措置)

第14条 区は、環境への負荷の低減のための助成その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(施策の推進体制の整備)

第15条 区は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第16条 区は、環境の保全に関する施策のうち、広域的な取組を必要とするものについて、国、他の地方公共団体等と協力し、その推進に努めなければならない。

第3章 環境審議会

第17条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、区長の附属機関として、葛飾区環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査し、及び審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する基本的事項

3 審議会は、委員20人以内をもって組織する。

4 委員は、学識経験者その他区長が適当と認める者のうちから区長が委嘱する。

5 委員の任期は、3年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、葛飾区規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、区長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に存する葛飾区環境基本計画は、第8条第1項の規定により策定したものとみなす。

葛飾区環境基本条例

令和4年3月30日 条例第5号

(令和4年4月1日施行)