○葛飾区いじめ防止対策推進条例

平成31年3月28日

条例第3号

子どもは、一人ひとりがかけがえのない存在であり、未来への希望です。

そして、全ての子どもが、個人として尊重され、幸せに生きる権利を持っています。

その尊厳や権利を侵害するいじめは、心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を及ぼすだけでなく、命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある行為であり、決して許されるものではありません。

いじめを根絶するためには、子どものみならず、全ての人が「いじめは絶対に許さない」という意識を強く持ち、いじめを許さない文化と風土を創ることを目標とし、いじめのない社会の実現を目指さなければなりません。また、私たちは、全ての子どもが、笑顔で安心して生活し、学び、心身ともに健やかに成長することができる環境づくりに努めなければなりません。

私たちは、次代を担う子どもの最善の利益を図るため、いじめの背景にある様々な問題と正面から向き合い、子どもの尊厳や権利を侵害するいじめを、しない、させない、許さない学校や社会の実現を目指し、ここに葛飾区いじめ防止対策推進条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、いじめの防止等のための対策について、基本理念を定め、葛飾区(以下「区」という。)、学校、保護者、区民及び関係機関の責務を明らかにするとともに、いじめの防止等のための対策に関する基本的な事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進し、もって児童等が健全に成長できる環境を整備することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

(2) いじめの防止等 いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。

(3) 学校 葛飾区立学校設置に関する条例(昭和31年葛飾区条例第14号)別表に規定する学校(幼稚園を除く。)をいう。

(4) 児童等 学校に在籍する児童又は生徒をいう。

(5) 保護者 児童等の親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童等を現に監護する者をいう。

(6) 区民 区内に在住し、在勤し、又は在学する者をいう。

(7) 関係機関 警察、児童相談所その他いじめの問題に関係する機関をいう。

(基本理念)

第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが児童等の生命、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであることに鑑み、全ての児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2 いじめの防止等のための対策は、児童等の生命及び心身を保護し、児童等をいじめから確実に守るとともに、児童等のいじめに関する理解を深め、児童等がいじめを知りながら放置することなく、いじめの解決に向けて主体的に行動できるようにすることを旨として行われなければならない。

3 学校におけるいじめの防止等のための対策は、いじめの防止等に関する取組を実効的に行うため、学校全体で組織的に取り組むことを旨として行われなければならない。

4 区、学校、保護者、区民及び関係機関は、児童等が安心して生活し、健やかに成長できるいじめのない地域社会の実現を目指し、それぞれの役割や責任の下で、連携し、及び協力していじめの防止等に取り組まなくてはならない。

(いじめの禁止)

第4条 児童等は、いかなる理由があってもいじめを行ってはならない。

(区の責務)

第5条 区は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策について、学校、保護者、区民、関係機関その他の関係者と連携して、区の状況に応じた施策を策定し、及び総合的かつ効果的に推進する責務を有する。

(学校及び学校の教職員の責務)

第6条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、区民、関係機関その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

2 学校及び学校の教職員は、いじめの防止等に組織的に取り組むため、校内における体制を整えるとともに、児童等が安心して相談できる環境を整えなければならない。

(保護者の責務等)

第7条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、いじめが児童等の生命、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであるとの認識の下、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他必要な指導を行うよう努めなければならない。

2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3 保護者は、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための対策に協力するよう努めなければならない。

4 第1項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならず、また、前3項の規定は、いじめの防止等に関する区及び学校の責任を軽減するものと解してはならない。

(区民の責務)

第8条 区民は、地域において児童等に対する見守り等を行い、児童等が安心して過ごすことができる環境づくりに努めなければならない。

2 区民は、いじめを発見し、又はいじめの疑いがあると認めた場合には、速やかに区、学校又は関係機関に情報を提供するよう努めなければならない。

3 区民は、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための対策に協力するよう努めなければならない。

(関係機関の責務)

第9条 関係機関は、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための対策に協力するよう努めなければならない。

(財政上の措置)

第10条 区は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。

(葛飾区いじめ防止基本方針)

第11条 葛飾区教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第12条の規定に基づき、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針として、葛飾区いじめ防止基本方針を策定するものとする。

2 教育委員会は、前項の葛飾区いじめ防止基本方針を策定し、又は変更したときは、これを公表するものとする。

(学校いじめ防止基本方針)

第12条 学校は、法第13条の規定に基づき、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針として、学校いじめ防止基本方針を策定するものとする。

2 学校は、前項の学校いじめ防止基本方針を策定し、又は変更したときは、これを公表するものとする。

(葛飾区いじめ問題対策連絡協議会)

第13条 教育委員会は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、法第14条第1項の規定に基づき、学校、教育委員会、関係機関その他の関係者により構成される葛飾区いじめ問題対策連絡協議会(以下「協議会」という。)を置く。

2 協議会は、次に掲げる事項について協議する。

(1) 区又は学校におけるいじめの防止等のための対策に関すること。

(2) いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、いじめの防止等のための対策に必要なこと。

3 協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、葛飾区教育委員会規則(以下「教育委員会規則」という。)で定める。

(葛飾区教育委員会いじめ問題対策委員会)

第14条 教育委員会は、いじめの防止等のための対策を実効的に行うため、法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会の附属機関として、葛飾区教育委員会いじめ問題対策委員会(以下「対策委員会」という。)を置く。

2 対策委員会は、教育委員会の諮問に応じ、いじめの防止等のための対策について審議し、答申する。

3 対策委員会は、必要があると認めるときは、いじめの防止等のための対策について教育委員会に意見を述べることができる。

4 対策委員会は、学校において法第28条第1項に規定する重大事態が発生した場合には、教育委員会からの要請に基づき同項に規定する組織として調査を行い、その結果を教育委員会に報告するものとする。

5 対策委員会は、学識経験を有する者その他のいじめの防止等に係る専門的な知識を有する者のうちから、教育委員会が委嘱する委員10人以内をもって組織する。

6 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

7 前2項に定めるもののほか、対策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、葛飾区長又は教育委員会が別に定める。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

葛飾区いじめ防止対策推進条例

平成31年3月28日 条例第3号

(平成31年4月1日施行)