葛飾区史

第5章 暮らしの移り変わり


第3節 都市近郊の農村

■都市近郊農村の娯楽 :四季の娯楽【繁華街の楽しみ】

 正月や盆などの前には、近隣の繁華街である松戸(現千葉県)や千住(現足立区)などにでかけ買い物をした。
 松戸では、毎月市が開かれるので見物に行く人が多かった。特に水元、金町、青戸などの人たちにはなじみ深い身近な繁華街であった。農機具の調達や野菜の種や肥料の購入などに行くことが多かったが、正月前には正月用の神具や、新しい下着などを買いに行った。
 千住には、青物市場があったこともあって頻繁に行く人が多かった。小菅や堀切、上千葉、下千葉の人たちには親しみのある繁華街であった。千住には遊郭があるので、若い男の人が「千住に行ってくる」というとからかわれたりもした。
 浅草では、正月などの機会に映画を見たり浪曲を聞いたりした。歳の市にしめ飾りを出荷してお金が手元にあるときなどは、かつ丼やラーメンなどふだんは食べることのない外食を楽しんだ。昭和20年代の浅草は特ににぎやかで、封切りの映画を観たり芝居見物をして楽しむ人も多かった。
 昭和初期の葛飾区内で繁華な場所というと新宿町が有名で、縁日があり、バナナのたたき売りなどの露店が出た。
 戦後は葛飾区内にも繁華街が増加した。亀有、金町、立石、堀切、四つ木や上平井などには浪曲や映画などを観覧できる芝居小屋ができた。金町には既に戦前に浪曲を楽しむことのできる小屋があった。剣劇などの芝居も行われていた。その芝居小屋が戦後は映画館になり昭和20年代はたくさんの客を集めていた。

金町にあった大型小売店の広告(昭和30年代)
戻る時は右上の×をクリックしてください

四ツ木銀映(昭和33〔1958〕年)
戻る時は右上の×をクリックしてください

にぎわいを見せた新小岩の商店街(昭和30年代)
戻る時は右上の×をクリックしてください