葛飾区史

第5章 暮らしの移り変わり


第3節 都市近郊の農村

■都市近郊農村の娯楽 :四季の娯楽【シャモゲイ】

 闘鶏用の鶏であるシャモを戦わせる競技をシャモゲイと呼んでいる。各ムラで愛好者が適当な日にちに寄り合って行っていた。金を賭ける賭博行為であり、シャモも大けがをすることが多いので、動物愛護の面からも現在は禁じられている。
 かつてシャモゲイが盛んであったころはムラを超えて広い範囲から人が集まり、庭の広い家や道端などで行っていた。大きなシャモと小さなシャモを戦わせることが基本で、一定の時間で大きなシャモが小さなシャモを捉えられるか、小さなシャモが逃げ切れるかを賭けた。
 シャモゲイをする日は決まっておらず、愛好者が示し合わせて田植え終わりの祝いであるサナブリなどに行った。シャモゲイに出すシャモはそれぞれ愛好者の家で孵化させ、強くするために餌や飼育方法に工夫を凝らした。一般的に太り過ぎているシャモは弱いので、「油を抜く」といって人が入る風呂程度の温度の湯に首まで入れ20分温浴させる。また、シャモゲイをさせる 1、 2週間前にはシャモの爪を切っていた注釈1
 シャモゲイは昭和30年代初期まで葛飾区内の各所で行われていた。




注釈1: 「農村娯楽としての闘鶏の研究」 荻原ちとせ(『都市近郊農村の娯楽』平成11〔1999〕年 葛飾区郷土と天文の博物館所収)。