葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■安心で健やかに暮らすために(福祉と保健の取り組み) :高齢化への対応

 「地方自治法」の一部改正により、昭和40(1965)年に東京都から事務が移管され、福祉事務所の業務、障害者福祉、老人福祉などの事務が新たに特別区の仕事になった。
 葛飾区の高齢者保健福祉施策としては、元気な高齢者を対象とした施設の建設を行ない、昭和45(1970)年に区で初の堀切敬老館(現堀切憩い交流館)を開設し、その後、各地域に敬老館(現憩い交流館)を開設した。また、生活援助や生きがいづくりなどの事業を展開した。
 昭和54(1979)年、葛飾区の総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は7%を超え、「高齢化社会」に入った。その後も高齢者人口は増え続け、平成9(1997)年3月には高齢者の割合が14%を超え、「高齢社会」を迎えた。
 高齢者人口が増える中、昭和末期から平成初期にかけて、介護が必要な高齢者(以下、「要介護高齢者」という)に対する施策として、葛飾区は特別養護老人ホームや在宅サービスセンターなどの施設整備を本格的に進めていった。
 その後、さらなる高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化などが顕著となった。さらに、核家族化の進行や介護する家族の高齢化など要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況も変化してきたため、入院の必要性が低いにもかかわらず、高齢者や家族の生活上の都合によって入院する「社会的入院」が社会問題化してきた。そこで、平成12(2000)年に、「介護の社会化」を図る目的で介護保険制度注釈1が導入された。これにより、介護サービスは措置として行政が決めていたものを、利用者がサービスを選択し、契約することになった。導入後、葛飾区内では介護サービス事業者により、特別養護老人ホームなどの施設整備や訪問介護などの拡充が図られた。また、区が整備した特別養護老人ホームなどを社会福祉法人に無償で貸し付け、事業の移管を行った。
 葛飾区では平成13(2001)年に8077人だった要介護・要支援の認定者数が毎年増え続けたため、要介護・要支援状態になることを予防する介護予防事業への取り組みを積極的に展開し、平成25(2013)年、東京都内で初めて民間事業者との協働により「運動習慣推進プラチナ・フィットネス事業」を開始した。

葛飾区の高齢者(65歳以上)人口(昭和45〔1970〕〜平成25〔2013〕年)
戻る時は右上の×をクリックしてください

運動習慣推進プラチナ・フィットネス事業

フィットネスクラブとの協働事業で、高齢者が運動を習慣化することで要支援・要介護状態になることを予防する目的で行われている。
戻る時は右上の×をクリックしてください

葛飾区の介護保険の第1号被保険者数と要介護(要支援)認定者数(平成13〔2001〕〜平成27〔2015〕年度)

第1号被保険者とは、65歳以上の被保険者のこと。
戻る時は右上の×をクリックしてください




注釈1:介護が必要となった高齢者やその家族を社会全体で支えていく仕組みで、40歳以上の人が支払う「保険料」と「公費」で運営する。