葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■葛飾の産業と観光 :優れた技術を持つ工業の取り組み

 葛飾区の工業は、金属・機械・ゴム製品をはじめ、多業種にわたり、高い技術力を生かして2度の石油危機を乗り越え、バブル経済期まで着実に発展してきた。
 しかし、平成3(1991)年のバブル経済崩壊後の長引く景気低迷により、大企業が生産拠点を人件費や物価の安い地方や海外へ移転し、現地で部品を調達するなど、葛飾区内製造業への発注が減ったことから、資金繰りが厳しい事業所が増えた。このような経営状況の悪化や、経営者や従業員の高齢化・後継者不足によって、区内の工場の廃業が増加している。
 このような状況を踏まえ、葛飾区は事業所に対する各種支援を行い、協働で様々な工業振興策を展開してきた。
 葛飾区内外の受発注の機会を増やし、販路拡大を図るため、平成19(2007)年度からは、区内企業の高い技術を駆使して作られた製品や技術を葛飾ブランドとして認定し、その製造背景やエピソードなどを漫画で紹介する『葛飾町工場物語』を発信している。平成26(2014)年度には、東京国際フォーラム(東京都千代田区)において「町工場見本市」を開催し、区内外107社の企業が製品の展示や実演を行った結果、商談に結び付け、その後の受注契約につなげている。
 また、新たな技術研究や商品開発の意欲を助長し、商品の品質を向上させ競争力を高めるため、平成9(1997)年からは、新製品や新技術の開発を行う事業者に対して助成を開始した。この結果、ステンレス表面処理技術などが新たに生み出されている。さらに、東京理科大学と連携し、大学の研究成果と区内企業の優れた技術を結び付けた新製品や新技術の研究も始まっている。
 これらの様々な取り組みの結果、平成24(2012)年には23区で4番目の工場数となっている。

葛飾区の工場数と従業員数(平成2〔1990〕〜23〔2011〕年)
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葛飾ブランドに認定された北星鉛筆株式会社
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第1回町工場見本市の様子

平成27(2015)年2月12日〜13日まで開催。
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『葛飾町工場物語』の表紙
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