葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第2節 現在の葛飾

■バブル経済の崩壊と進む社会の成熟化 :2度の大型不況への対応

 昭和61(1986)年に始まったバブル経済は、平成3(1991)年に崩壊した。地価と株価は暴落し、金融機関は不良債権を抱え倒産が相次ぎ、以降「失われた10年」注釈1を迎えた。平成14(2002)年ごろから景気は回復傾向にあったが、経済成長率や賃金の伸びが鈍く、家庭レベルでの実感は薄かった。その後、平成20(2008)年9月にリーマン・ショック注釈2によって株価の暴落や企業の倒産が相次ぎ、バブル経済崩壊に続く2度目の大型不況を経験した。
 葛飾区においても、バブル経済崩壊後に地価が大幅に下落した。
 税収面でも特別区税が、平成4(1992)年度の約335億円をピークに減少傾向となり、平成10(1998)年度には約281億円となるなど厳しさを増し、財源の確保が課題となった。
 このため、葛飾区は平成10(1998)年度と平成13(2001)年度の2回に渡り経営改革を宣言し、事務事業の見直しや職員の定数削減に取り組んだ。平成11(1999)年度からの3年間で約104億円の歳出削減を行い、その後も継続し、平成14(2002)年度から平成25(2013)年度の12年間で約214億円の削減を行った。また、区議会の議員定数を平成9(1997)年に2名、平成15(2003)年には6名削減する条例を議決した。
 厳しい不況下においても、これらの改革で生み出した財源を活用し、少子高齢化やIT化の進展、まちづくりなど新たな課題に取り組んだ。また、子ども区議会の開催やホームページによる情報公開、区議会のネット中継など、区議会の情報を積極的に発信するなどの取り組みを進めた。

商業地の公示地価(1㎡当たり)
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葛飾区の特別区税決算額の推移(昭和61〔1986〕〜平成22〔2010〕年度)
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注釈1:バブル経済崩壊後の不況のこと。リーマン・ショックも含めて「失われた20年」と呼ぶこともある。
注釈2:アメリカの証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界的な不況のこと。