葛飾区史

第4章 現代へのあゆみ(戦後~平成)


第1節 戦後の葛飾

■経済の安定成長からバブル経済へ :消費者行政の進展

 第1次石油危機が起きた頃から、葛飾区の消費者行政は新たな展開を見せた。区では、講師を招いて食品や医療などの日常生活に関わる知識を学ぶ消費者講座に加えて、昭和48(1973)年にモニターを通じて商品や区民の消費活動の実態を把握する消費生活モニター事業を開始した。また、同年には「葛飾区消費者の会」注釈1と協働し、自立した消費者として行動できるよう、上手な買い物の仕方や食品添加物についてのパネル展示などを行う消費生活展を初めて開催した。葛飾区消費者の会は、第2次石油危機の後に灯油価格の調査を実施し、昭和54(1979)年の区内の灯油価格が前年同月に比べて高騰したことを明らかにしている。
 昭和52(1977)年の葛飾区内の世論調査と昭和55(1980)年の区内の世論調査では、「区の消費者行政として、どんなことに力を入れてほしいと思いますか」といった当時の世相を反映した質問が登場している。いずれも約6割の回答者が「直売や安売りのあっせん」を選択しており、急激に上昇する物価に悩む区民の生活状況をうかがうことができる。このような状況の中、葛飾区は関係団体の協力を得て、特定の商店が毎月決まった日に、魚と豚肉を市価より安く販売する事業を
始めた。

第2回消費生活展の様子(昭和49〔1974〕年11月)

物価高の克服、廃物の再利用や安全な日用品・食品の共同購入を促す展示、生鮮食品の即売会、不用品交換会が行われた。
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魚と豚肉の安売りを報じる『葛飾区のお知らせ』(現『広報かつしか』)(昭和49〔1974〕年)
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注釈1:消費者講習会の受講生が中心となり、消費者の団結や消費生活の向上を図ることを目的として、昭和46(1971)年に結成された会。